『永遠のマリア・カラス』
フランコ=ゼフィレッリ監督。2002年伊・仏・英・ルーマニア・スペイン。原題『Callas Forever』。ヒューマンドラマ映画。出演、ファニー=アルダン、ジェレミー=アイアンズ、ジョーン=プローライト。オペラ界の頂点に昇り詰めた天才歌手マリア=カラス(1923~77)の晩年をフィクションで描いた、生誕80周年記念作品。実話でないため物語に無理があります。声の出なくなった往年の大スターが過去の美声に執着し続け、結局我儘を押し通すという展開です。この映画を観ただけではマリア=カラスという実像には近づけません。(お薦め度★★) そのためWOWOWではBBC放送製作のドキュメンタリー番組「ドキュメント:マリア・カラスの真実」(お薦め度★★★)を特集として放映してくれました。こちらのほうが彼女の破滅的な人生をより多面的に描いてくれています。オペラ界で成功して世界的なスターになるものの、母親との確執や世間とのいざこざ、夫メネギーニがいるにもかかわらず、船舶王オナシスと恋仲になり、豪奢な生活に溺れ歌から離れてしまい歌手生命が絶たれてしまう。証言によるとオナシスは歌に理解がなかったとのこと。ケネディ大統領未亡人ジャクリーンとオナシスが結婚することで、捨てられて失意のどん底に。回りからの勧めで何とか復活するものの「神に祝福された歌声」は聞くに堪えないものになっていた。オナシスへの未練、孤独に苛まれ自分のレコードを聞き続け、心臓発作に倒れる彼女の軌跡はあわれとしかいいようがない。 このドキュメンタリーを観る限り、前述の映画はきれいに作り過ぎています。この映画はフィクションであることをテロップに入れないと、マリア=カラスという人物を誤解してしまいます。
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