ノベライズ『イルマーレ』
あとがきに次の記載がされています。
「本作は、イ・ヒョンスン監督による映画『イルマーレ』(原題:時越愛)、およびヨ・ジナによる同名オリジナル・シナリオに基づき、これら原典を可能な限り忠実に文章化したノヴェライゼーションである。」
『イルマーレ』は恋愛映画の中では今1番好きな作品です。2回観ていますが、時空を超える物語のためタイムパラドックスによる意味の通じにくいシーンなど疑問点が数多くあるためノベライズを読みました。お陰で疑問は解消しました。特にストーリーの中で省略されている主人公と父親の関係も理解できました。そして何よりも映画では多くの要素をカットされていることがわかりました。半分近く使われていない印象です。監督のこの思い切りの良さがこの映画を成功させたのだと感じました。もしもシナリオ通りに編集されていたとしたらあまりに偶然が度重なってしまう不自然で説明過多の凡庸な作品になっていたのではと予想できます。全てを描かなくても映像の組み合わせで観客の想像力を膨らませた監督の手法は評価できますし、恋愛に絞り込んだストーリーはわかりやすいものになっています。
ノベライズは読みやすく映画の各場面をすぐに連想させるように文章化されていました。ただし、少し気になったのは、このノベライズから登場人物を思い出したとき、主人公のソンヒョン役イ=ジョンジェはピッタリ当てはまります。しかし、ヒロインのウンジュ役チョン=ジヒョンから少し離れて、何故か彼女以外の女性をイメージしてしまいました。これは私だけの感覚なのかもしれませんが、イメージのずれを起こさないように先ず映画を観てからこのノベライズを読むことをお薦めします。
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