『鍼灸の挑戦』
現代医学すなわち西洋医学の限界として代替医療(オルタナティブ・メディスン)の要求が世界的に高まっており、その中でも体に負担が少なく安く導入でき、効果の高い鍼灸術へ注目が集まっています。そのような時代の要請に対して著者の松田博公氏は、日本における鍼灸の治療家を数多く取材されて、治療する側がどのように鍼灸に取り組んでいるのか臨床の現場から詳細にレポートしています。彼は自らが鍼灸師で鍼灸ジャーナリストでもあり、自ら治験者としての分析と評価を行っています。鍼灸の効果は慢性疾患の分野においてのみ役立つものだと考えてきましたが、癌や精神病など幅広い範囲で成果が上げられることが報告されています。現在の治療に行き詰った患者にとって福音ともいえる内容です。自分に合った鍼灸師を選ぶ基準や鍼灸の治療を受ける心構えについても学ぶことができました。巻末には本文中に登場し、掲載を許可した鍼灸師・医師の一覧が付いた実用書としても機能しています。岩波新書として発行されたことは信頼度において大変意義深いと考えられます。
【関連書籍】
■『はるかなる東洋医学へ』本多勝一著
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