『しのびよるネオ階級社会』
著者は10年にわたる在英生活を基に、今日本が新たな階級社会に向かっていると予想しています。どんなに努力しても経済格差は埋まらずに、富める者と貧しい者の格差が広がり、やがて社会全体として意識の中に階層が生まれ、学校教育によって補完されてネオ階級社会が出現すると説いています。確かに時代は二極化への道を歩み始めたと思える現象が出てきています。高級ブランド品が売れ続け、六本木ヒルズの超高級マンションに見られるとおり、庶民感覚では到底考えられない高額な世界が存在します。一方では、長期デフレの影響で安売りの代表である100円ショップの出店が増えて、より身近な存在として定着してきています。また、出産の低下によって少子化が進む中で、私学への受験競争は相変わらず激しい状況です。経済と教育の相乗効果によって英国的な階級社会が訪れる可能性は高まっているといえるかもしれません。
本書を読んで重く暗い未来しか見えてきません。しかし、たとえどんな未来に進んでいこうとも、より良い方向になるよう日々生活の場面において、思いをめぐらせなければならないと感じました。さて、どうすればいいか、それを十分に考えなければならない課題です。
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