新書『人生のちょっとした難問』
批評家・小浜逸郎著、洋泉社新書。
『なぜ人を殺してはいけないのか 新しい倫理学のために』に引き続き彼の著書は2冊目になります。新書で人生相談を行うという意欲作です。第一章<中高年夫婦編>、第二章<若い夫婦編>、第三章<青年編>と各年代を網羅する深刻でない日ごろ誰もがぶつかる「ちょっとした難問」を17項目選択したそうです。回答は率直で丁寧に述べられて、論点の洗い出しは鋭いものがあります。すべてに対して明確な答えを出されています。賛同する解や教えられる部分が多くあるのですが、一方で同調できない部分も少なからず出てきました。十人十色とはよく言ったもので、相談する相手によって全く逆の回答になる可能性があります。総論賛成、各論反対。逆に総論反対、各論賛成と二者択一にできないものも回答の中にありました。人生相談というものはやはり難しいと感じました。しかしながら、批評家として生活に根ざした身の上相談を新書で行うという積極的な姿勢に改めて著者の真摯な人柄に尊敬の念を持ちました。
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