『インストール』
監督、片岡K。原作、綿矢りさ。2004年日本。出演、上戸彩(野沢朝子)、神木隆之介(青木かずよし)、中村七之助(コウイチ)、菊川怜(モモコ先生)、田中好子(野沢毬恵)、小島聖(青木かより)。
芥川賞を最年少で受賞した綿矢りさのデビュー作を正統派アイドル女優・上戸彩と、映画界で活躍する天才子役の神木隆之介が組んだ話題作です。本編が95分という短さです。アダルトチャットのアルバイトをしている小学生が登校拒否を始めた女子高校生を仕事に引き込むという物語ですが、軽いコメディタッチでテンポ良く進行するので不自然さは感じません。原作がいいのでしょう、女子高生の感情を台詞で上手に表現しています。リアルな生活で喪失感を覚えた彼女がバーチャルの世界によって自分を取り戻す前向きな、すっきりさわやかな作品でした。小学生の継母役の小島聖は個性的で、『恋の門』でもみせた奇妙で壊れかけている演技は興味を引かれました。彼女はなかなかの逸材かもしれません。
非常にシャープな映像でありながら、冷たさを感じさせない監督の色彩感覚は傑出しています。TVディレクター出身とのことで、幾何学的で人工的な画面構成は高度に計算されていると感じます。
ただし、残念ながらきれいで軽過ぎて映画というよりもTVドラマ的な作品と言えます。
(お薦め度★★)
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