新書『下流社会』
三浦展(みうら=あつし)著、光文社新書。
この本は是非読んでください。お薦めします。
書籍についてはブログでは評価することを原則しないことにしています。エンターテイメントとしての映画と違って、読書は教養の面が強いので人に薦めるということはお門違いと考えてきました。しかし、この本の驚くべき内容を知ったからには多くの方に読んでもらいたいと素直に思いました。今まさに進行している階層問題を扱った衝撃の消費社会論です。
「下流社会」とは著者の造語で決して所得が低いことを著しているわけではありません。巷で語られる勝ち組・負け組、二極化など単に所得格差で語られてきています。私も所得差によって階層社会が出現するとしか理解してきませんでした。しかし、本書では階層社会に移行する大きな要因は「意欲」と「能力」にあるとしています。以前読んだ林信吾著『しのびよるネオ階級社会』でも同様なことが語られていますが、マーケティング・アナリストである三浦展氏は豊富なデータを元に現状を詳細に分析して、今後どのように社会が変容していくのかを明示してくれています。どうもこのまま進んでいくと階層格差が固定化した社会になる可能性が高いようです。今のうちに何らかの手を打たないと一部の上層と大衆の多くがいる下層の2つに分かれた、取り返しのつかない世の中になってしまうでしょう。本来ならば政治家に将来を任せたいのですが、現政権が階層社会を加速させており、小選挙区制の選挙制度ではもはやその流れを押さえることは不可能と判断せざるおえません。我々皆が問題意識を共有して来るべき将来に備えなければならないのです。
(お薦め度★★★★★)
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