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2005.12.21

『ティアーズ・オブ・ザ・サン』

監督、アントワーン=フークア。2003年米。戦争映画。出演、ブルース=ウィルス(ウォーターズ大尉)、モニカ=ベルッチ(リーナ=ケンドリックス・女医)。

全く失望させられます。
内戦状態のナイジェリアで米国人の女医を救出するために米海軍特殊部隊が送られるが、命令を無視して女医の希望通りに見捨てられた難民も助け出そうとする安っぽいヒューマンドラマです。女医の救助が目的なのに、外交上で大問題を引き起こしかねない難民救助はありえません。こんなことをしたら命令違反で軍法会議にかけられてしまうでしょう。
ナイジェリア軍に対して特殊部隊から発砲を禁じられているにもかかわらず、ある村が襲われている場面をみた大尉は攻撃を隊員に命じます。世界各地に行って大虐殺をしている米軍が他者が同様のことをすると許せなくなるという発想がこの映画の中に充満しています。結局、人道的見地からというのは米国の視点でしかなく、この大尉もナイジェリア軍をやっつけたい、戦争をしかけたいだけなのです。こんな虫の良すぎる偽善は映画の世界だけにして欲しいです。女医の役柄もひどすぎました。ヒステリックな性格は仕方ないとしても、医師としての哲学が全く無い人物で、その場その場でコロコロと意見が変わります。自分勝手なご都合主義のヒューマニストにはあきれました。
それにしても私の大好きな『キング・アーサー』の監督作だったのはショックでした。このような作品が作れてしまうことに矛盾はないのでしょうか。米国人の限界を感じました。
(お薦め度★)

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