『ネバーランド』
監督、マーク=フォースター。2004年イギリス・アメリカ。ヒューマンドラマ映画。原題『FINDING NEVERLAND』。出演、ジョニー=デップ(ジェームズ=マシュー=バリ・劇作家)、フレディ=ハイモア(ピーター=ルウェリン=デイヴィズ・三男)、ニック=ラウド(ジョージ=ルウェリン=デイヴィズ・長男)、ケイト=ウィンスレット(シルヴィア=ルウェリン=デイヴィズ)、ジュリー=クリスティ(デュ=モーリエ夫人・祖母)、ラダ=ミッチェル(メアリー=アンセル=バリ・バリ夫人)、ダスティン=ホフマン(チャールズ=フローマン・興行主)。2005年第77回アカデミー賞、最優秀作曲賞を受賞。
やさしさとあたたかさに包まれる感動作でした。
劇場公開で観ようかどうか非常に迷った作品でした。最終的にケイト=ウィンスレットが苦手で見送っています。『タイタニック』でヒロインらしからぬ美しさと演技だったのが理由です。昔からどうしても作品よりも俳優にこだわってしまう傾向があります。
「ピーター・パン」、特にディズニーアニメは大好きな作品です。子供向けのファンタジー映画としていまだに輝きを失っていません。その原作がどのように生まれたかを史実に基づいてつくられたわけですから、この映画は必見であったのは言うまでもありません。
脚本・編集・撮影のどれをとっても高い水準で、抑えた行間を読ませる間の演出がさらに作品に磨きをかけていました。スイス出身のマーク=フォースター監督作は初めて観ましたが、素晴らしい才能だと思います。キャスティングもピカイチですね。ジョニー=デップはもとより、登場人物の演技は素晴らしかったです。苦手だったケイト=ウィンスレットも、4人の子を持つ未亡人という難しい母親役を見事に演じていました。彼女については今後こだわることは止めます。
実際の物語ということで非常に考えさせられたのですが、1903年当時のイギリスにおいて、子供のいない妻は非常に辛い立場だったのではなかったかということです。ラダ=ミッチェル演じるバリ夫人は不倫という汚名を着せられるわけですが、バリが世間体を無視して家庭を壊したのがきっかけです。しかも子供好きとして他の家族を追っ掛ける姿は、子のいない妻へのいじめそのものでしょう。「ピーター・パン」という素晴らしい作品が生まれたから結果オーライですが、何も生まないボンクラだったら美談にも何にもならない罪深い人生だと思います。バリ夫人が創作者である夫を気遣って身を引いたように感じられてその潔(いさぎよ)さがいじらしかったです。
(お薦め度★★★)
【関連作品】
・『ピーター・パン』
・『ピーター・パン/ネバーランドの秘密』
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コメント
erabuさん、こんにちは♪
erabuさんのレビューは、いつも惚れ惚れしてしまいますね。
私は俳優さんより作品にこだわるタイプなのですが、、、
私の中で言語化できない作品へのもやもやした思いが、言葉として述べられてあって「そう、そう」と腑に落ちていつもすっきりしています。ありがとうございます。
先日の「有頂天ホテル」のレビューなぞは実に痛快でした(笑)
以前の感想ですがTBさせていただきます。
投稿: yuzuki | 2006.02.25 12:19
>yuzakiさん、コメントうれしいです。
この作品は期待したほどでもありませんでした。美談であるようでないような出来ですね。
『THE有頂天ホテル』が『男たちの大和/YAMATO』以上に大ヒットしたのが信じられません。今年最初の映画界の不思議でした。
投稿: erabu | 2006.02.26 16:58