男気とは
大学時代のことです。
入学してすぐにボクシング部に入部して毎日をクラブ活動で過ごしていました。授業に出るよりも部室で仲間と多くの時間を過ごしていました。練習時間は昼休み、昼食前に基礎トレーニングをこなして汗を流した後に、学食に通う毎日でした。
ある日のこと、練習後に後片付けをして1年生同士数人で学食に行きました。そこには既に副キャプテンが1人で食事をされていました。体育会系は当然ながら先輩を確認すると速やかにその場で「押忍(オスッ)!!」と挨拶を行ないます。全員が挨拶を終えて、食券を購入しよとその場から移ろうとしたときに、俺が先輩から呼ばれました。
近づくと右手を差し出されました。
「みんなで食べろ」
と一言、5千円札を手渡されました。
「ありがとうございますっ!!」
と素直に受け取り、仲間の元に戻りました。
ボクシング部全員が貧乏学生でした。大学自体が貧乏でした。学生の大半はアルバイトをしなければ大学生活が送れないギリギリの経済状況だったのです。先輩といえども五十歩百歩でしょう。新入生よりもわずかに余裕があるだけです。当時、学食で1番高い定食が300円でしたのでいかに高額なお金だったのか、先輩にとっても結構なお金だったと思います。練習で疲れた後輩をいたわることと経済的に支援することを意図して、さりげなく昼飯を奢るという行為で示してくれた先輩の思いやりが、とても有り難くカッコ良かったです。今でも忘れられません。
寡黙というわけでなく、多くを語らなかった副キャプテンでした。
先輩のような男気のある男になりたくて今でも目標にしています。
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コメント
いい話ですね。
最近このようなこと少なくなりましたね。
見栄かもしれませんがなかなかできません。
>先輩のような男気のある男になりたくて今でも
>目標にしています
先輩の真似して奢ってくださいよ。
これとはチト違いますが私、一昨年から二人の妹
と二人の母親(実母と義母)にお年玉をあげてい
ます。
気持ちいいですよ。(感謝されちゃって、神棚に供えちゃうんだから)
先輩も男気と同じように自分も気持ち良かったのではないでしょうかね。
投稿: 不良中年こうちゃん | 2006.06.06 16:13
>先輩の真似して奢ってくださいよ。
爆笑です。そうですよね。検討します(笑)。
>先輩も男気と同じように自分も気持ち良かったのではないでしょうかね。
そうだと思います。
練習後にジュースを後輩に買いに行かせても、必ず後輩の分も面倒をみてくれていました。
気配りという次元ではなく、元々お金の使い方の流儀を持っている方でした。
1年でボクシング部を止めたので、それっきり会うことがなかったのですが、その頃の先輩の方々は良い人ばかりで記憶に残っています。この時代にカッコ良さを教わったのだと思います。
投稿: erabu | 2006.06.07 22:34