新書『狂気と犯罪 なぜ日本は世界一の精神病国家になったのか』
著者、芹沢一也(せりざわ=かずや)。
2005/1/20発行。講談社+α新書。
著者の主張は、犯罪を犯した精神障害者も裁判を受けさせるべきではないかと問題提起しています。明治40年に公布された現行刑法の刑法第三十九条「心神喪失者の行為はこれを罰せず、心神耗弱者の行為はその刑を減刑す」によって法の世界、社会からも精神障害者は排除されて特別な存在にされてしまっていると述べています。
精神障害者が「狂気」として置かれてきた歴史と、それを支えてきた思想を明確に洗い出しており、その内容は十分に納得できる内容だと思います。ある意味非の打ちどころの無い論理展開がなされています。しかし、あまりに見事過ぎていて、危うさを感じます。犯罪に対して厳罰せよという世論を後押しする考えは、現在の風潮を追認しているだけで、皆が同じ方向に流れる危険性があります。記号的なレッテルで物事を単純化して導き出した硬直した考えは暴走する要素をはらんでいるのではないでしょうか。
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