映画『イブラヒムおじさんとコーランの花たち』(お薦め度★★★)
監督、フランソワ=デュペイロン。2003年フランス。ヒューマンドラマ映画。出演、オマー=シャリフ(イブラヒムおじさん)、ピエール=ブーランジェ(モモ)、ジルベール=メルキ(モモの父)、イザベル=アジャーニ(映画スター)。
フランス映画なのに感動させる意外としか言いようが無い名作でした。
イタリヤ映画のように人情味溢れる作品です。欧州連合(EU)になってからフランス映画は劇的な変化を遂げているようです。今までは難解で唯我独尊の世界で決して感動を与えるような作風ではありませんでした。常にラストが尻切れトンボで消化不良を感じさせてきました。それがここ数年は世界市場に通じる普遍的なテーマを扱ってしかも共感できる内容を提供してくれています。
今作は、ユダヤ人少年とイスラム教徒の年老いたトルコ商人との宗教や世代を超えた温かい心の交流を描いています。人として信じあうことの喜びを感じさせてくれる物語でした。本当に素晴らしい作品だと思います。
キャスティングは完璧でしょう。主演のイブラヒムおじさん役のオマー=シャリフの2003年セザール賞で主演男優賞受賞した演技は必見です。少年モモ役のピエール=ブーランジェも見事でした。脇役でイザベル=アジャーニが登場していたとはレビューを書くためにオフィシャルサイトを確認するまでは、まったく気付きませんでした。フランスの国民的大女優をチョイ役で登場させる監督の遊び心にも感心させられます。今後のフランス映画を語るうえでも画期的な位置付けとなる作品だと思います。
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