映画『テニスの王子様』(お薦め度★)
監督、アベ ユーイチ。原作、許斐剛。2006年日本。アニメ実写映画。出演、本郷奏多(越前リョーマ)、城田優(手塚国光)、RIKIYA(エガテ=マクラウド=檜垣)、載寧龍二(跡部景吾)、岩田さゆり(檜垣紫音)、島谷ひとみ(竜崎スミレ)、岸谷吾朗(越前南次郎)。
昔のTVアニメ「巨人の星」を実写版で観せられているようで笑えました。
いくら超現実的な必殺ショットをVFXを用いて映像化できるようになったといっても、ここまで劇画調にやるべきではないでしょう。原作が有り得ないショットを売りにしているのであればしかたありませんが、球の軌道を面白がって眺めているだけでスポーツとしてのテニスの緊迫感を味わうことはできないものになっています。
キャラクターが偏っていて脚本が悪いですね。平板で深みがなくスポーツを通じての成長していく様子はほとんどみられません。主人公の越前リョーマは極めて狭い範囲での人物像なので、最初から最後まで鼻持ちなら無い性格のままでヒーローとしての魅力は出ていませんでした。そもそも中学生という設定なのに主人公以外の選手たちが、どう観ても高校生以上にしかみえません。ライバルとなるエガテ=マクラウド=檜垣役のRIKIYAに至っては"オッサン"です。リアリティを無視したうえに男優陣には美形がおらず、キャスティング的にも失敗していました。
アベ監督の技量もどうなのでしょうか。画のつくりが悪く撮るアングルが並以下です。音楽は耳障りで場面とあっていないので気になってしかたがありませんでした。VFX畑出身ということで"魔球"は人一倍でしたが、"魔球"以外の演出においては商業レベルになっていません。続編を意識させるラストでしたが、悲惨な作品になることは避けられないので実写版は今作だけで打ち止めにすべきだと思います。
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