映画『マリー・アントワネット』(お薦め度★★★)
監督・脚本・プロデューサー、ソフィア=コッポラ。2006年米。歴史劇映画。出演、キルスティン=ダンスト(マリー=アントワネット)、ジェイソン=シュワルツマン(ルイ16世)、マリアンヌ=フェイスフル(マリア=テレジア女帝)、リップ=トーン(ルイ15世)、ジェイミー=ドーナン(フェルゼン伯爵)、オーロール=クレマン(シャール公爵夫人)、アーシア=アルジェント(デュ=バリー夫人)、ジュディ=デイヴィス(ノアイユ伯爵夫人)、スティーブ=クーガン(メルシー伯爵)、ローズ=バーン(ポリニャック公爵夫人)、シャーリー=ヘンダーソン(ソフィー内親王)。マリー・アントワネット生誕250周年の年に、フランス政府の全面的な協力の下、ヴェルサイユ宮殿で大規模な撮影を行い、全世界の注目を集めた話題作。
目から鱗な映画でした。
マリー=アントワネットに対して持っていたイメージが、この作品で逆転しました。今までは浪費家、享楽的、ヒステリックな女性とばかり考えてきました。今作に登場するルイ15世の愛人・デュ=バリー夫人のような人物と捉えていました。しかし、間違っていましたね。彼女は現代から見ても絵に描いたような良妻賢母な女性と感じます。14歳で単身オーストリアからフランス王室へ政略結婚で嫁がされ、全く頼りにならない夫・ルイ16世に一生を捧げた健気さは立派としか言いようがありません。それにしてもこれほど政略結婚が子供を授かるまで肩身の狭くストレスな毎日を送らなければならなかったとは想像を超えています。よくぞ宮殿内の王族や貴族たちの本人に聞こえるように話す陰口に堪えられたものです。これほど酷い環境にいれば虚しい孤独感から様々な浪費に走ってしまうのはしかたないでしょう。俗人が捉える浪費とはまったく次元が違っています。彼女の浮世離れした上品な逃避を誰が責めることができるでしょうか。
『ロスト・イン・トランスレーション』のソフィア=コッポラ監督作品なので、必ず劇場で観ようと考えていました。フランス王室の絢爛豪華な佇まいと靴やドレスなどの美術への徹底したこだわりがより一層当時を偲ばせるものになっています。18歳で即位した王妃マリー=アントワネットの悲しみや孤独感を明るくポップに展開した作風は見事です。
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