新書『チンギス・カン』
著者、白石典之(しらいし=のりゆき)。新潟大学助教授。
2006/1/25発行。中公新書。
昨年の2006年はモンゴル帝国建国八百周年に当たりました。本書はこれにあわせて発行されています。以前WOWOWで映画『チンギス・ハーン』(モンゴル・1992)が放映されました。モンゴル映画は荒削りで、かなり昔の映画を観ているようでしたが、内容はエネルギッシュで圧倒されました。チンギス・ハーンの激動の半生は非常に興味深いものでした。彼に関する本があればと探していたところ本書に出会いました。
著者はモンゴル考古学者として、遺跡や遺物などの物証からチンギスの実像にアプローチしています。そのため、ある程度彼の物語を知っていないと前半は読み続けるのはつらいものがあります。後半になると、彼の死後の後継者選びの経緯は物語性が高く読み物として楽しめました。
チンギス=カンの呼び方が詳細に説明されていました。
チンギス=カン
チンギス=ハン
チンギス=ハーン
・ペルシャ語史料に基づき"ジンギス"と呼ぶ欧米の研究者がいる。
→洋楽でジンギス=カンと歌われた曲はその影響だろうか?
・「カン」とは、国の王や部族の長などの意味。
・「ハン」は、「カン」と同じ意味。生前当時の発音は「カン」。
・「ハーン」は、唯一無二の君主の意味。「カン」よりもランクが上。死後に呼ばれる。
チンギスの墓所はいまだに謎で発見されていないそうです。世界征服者でありながら巨大な大宮殿は作っておらず、日本人がイメージするものとは大分違うようです。
ところで、3/3から映画『蒼き狼 地果て海尽きるまで』が劇場公開されますが、本書では紹介されていません。前述の映画『チンギス・ハーン』の記述もありませんでした。
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