映画『綴り字のシーズン』(お薦め度★★★)
監督、スコット=マクギー、デヴィッド=シーゲル。2005年米。原題『BEE SEASON』。家族ドラマ映画。出演、リチャード=ギア(ソール=ナウマン・父)、ジュリエット=ビノシュ(ミリアム=ナウマン・母)、フローラ=クロス(イライザ=ナウマン・娘)、マックス=ミンゲラ(アーロン=ナウマン・息子)、ケイト=ボワース(チャーリ)。
予想外の展開に結構引き込まれます。
タイトルと予告から想像もしていなかったドラマでした。スペリング・コンテスト(単語のスペルをそらで読み上げて競う大会)でみせる娘の才能をさらに強固なものにしようと、宗教学者の父親がユダヤ神秘主義の“カバラ”の秘儀へと娘を導いていきます。ある種のスポ根的な親子(父娘)の物語だとばかり思っていました。しかし、本題は家族崩壊のお話です。誰もが認める裕福で恵まれた家族が何故か壊れてしまう不条理さを組み込んだサスペンスはハマリます。大学教授でありながら家事も十分にこなし、子供たちをかわいがり妻を大切にする理想的な父親が窮地に陥る展開は、不可解でしかたありません。トラウマを引きずろうとする科学者の妻と何となく改宗しようとする学業優秀な兄は身勝手な贅沢病としか感じられません。病んでいないのに病もうとするふたりに対して、健気な娘が家族再生のために父親の期待を裏切って放つ回答はいじらしいの一言でした。
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