映画『胡同(フートン)のひまわり』(お薦め度★★★)
監督、チャン=ヤン。脚本、チャン=ヤン、ツァイ=シャンチュン、フォ=シン。2005年中国。家族ドラマ映画。出演、スン=ハイイン(ガンニャン・父)、ジョアン=チェン(母)、リウ=ツーフォン(ラオ=リウ・隣人)、チャン=ファン(少年時代9歳のシャンヤン)、ガオ=グー(19歳時代のシャンヤン)、ワン=ハイディ(大人32歳のシャンヤン)、チェン=ユエ(19歳時代のガールフレンド)、リャン=ジン(シャンヤンの妻)、リー=ビン(シャンヤンの幼なじみ)。胡同(フートン)とは、北京の伝統的民家、四合院が立ち並ぶ路地。2008年の北京オリンピックを前に近代化のため、その姿を消そうとしている。
秀作です。
文革によって画家の道を断たれた父親が息子に画家の夢を託し、息子はそれに反発を繰り返すという愛憎劇です。1976年に父親が強制労働から6年ぶりに帰宅するところから物語は始まります。日本の教育パパと違って、かなり支配的な父親です。息子を成功させるために徹底して指導し過干渉を繰り返します。当然ながら息子は抵抗を試みますが、結局は父親が決めた絵の道に進むというストーリー展開で、日本人には馴染めないものを感じました。俺がこの主人公であれば父親だけでなく母親も許さないでしょう。改めて中国人との根本的な違いを意識しました。
作品としては、父と子の普遍的な葛藤と親子の絆の強さを見事に描いています。また、隣人との相容れない描写も卓越していました。なんといっても頑固一徹の父親が最後にとった行動は彼らしい潔さでした。文化大革命から受けた呪縛を最後に自ら解き放った姿勢は立派です。
キャスティングが良いですね。個性的で演技力のある出演者たちに感心させられました。特に19歳当時の主人公の恋人を演じたチェン=ユエはチャン=ツィイーの次を担うと期待されている大型注目株だそうです。美人でかわいらしく、本当に惹きつける女優でした。初顔でしたが、かなり魅力的な存在で今後が楽しみです。
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