映画『犬神家の一族(1976)』(お薦め度★★★)
監督、市川崑。脚本、市川崑、長田紀生、浅田英一、岩下輝幸、日高真也。音楽、大野雄二。原作、横溝正史。1976年日本。ミステリー映画。出演、石坂浩二(金田一耕助)。高峰三枝子(犬神松子)、島田陽子(野々宮珠世)、三条美紀(犬神竹子)、草笛光子(犬神梅子)、あおい輝彦(犬神佐清/青沼静馬)、地井武男(犬神佐武)、川口晶(犬神小夜子)、川口恒(犬神佐智)、金田龍之介(犬神寅之助)、小林昭二(犬神幸吉)、坂口良子(那須ホテルの女中・はる)、小沢栄太郎(古館恭三弁護士)、加藤武(橘警察署長)、大滝秀治(大山神官)、寺田稔(猿蔵)、大関優子(青沼菊乃)、三木のり平(柏屋の亭主・久平)、横溝正史(那須ホテルの主人)、角川春樹(渡辺刑事)、岸田今日子(琴の師匠)、三谷昇(藤崎鑑識課員)、辻萬長(井上刑事)、三国連太郎(犬神佐兵衛)、西尾啓(若林)、原泉(老婆お園)、沼田カズ子(柏屋の女房)、岡本健一(仮面師)、守田比呂也(主治医)、細井利雄(警察医)、北島和男(犬神奉公会の人)、那須清(野々宮大弐)、仁科鳩美(野々宮晴世)、勝山美香子(松子の少女時代)、宮本茂(警察官)、阿部義男(佐兵衛の若い頃)。
公開時の1976/11/14に日比谷の千代田劇場で観ています。当時あまり面白かったと感じておらず、その後のTV放映で何回か観てきましたが、正確に評価したことがありませんでした。角川映画30周年記念の2006年版リメイクがあまりにも面白くなかったので、あらためてオリジナルのレベルを確認するために観ました。
今観ても結構面白いです。
話のつながりに無理が無く、一連の展開に納得できます。脚本、編集、演出が調和しており作品の質が高いことを確認しました。財閥一族の呪われた物語が格調高く描かれています。原作者の横溝正史やプロデューサーの角川春樹が登場しており、角川映画第1作としての豪華さを随所に感じることができます。そうそう三木のり平も出演していました。
何度観ても思うのですが、石坂浩二演じる金田一耕助がほとんど役に立たない探偵であるところがミソです。凄惨な事件をとことん重くしない道化としての役割を担っています。その後も『悪魔の手毬唄』『獄門島』『女王蜂』『病院坂の首縊りの家』のシリーズでも同様なキャラクターで起用され続けたように記憶しています。リメイクでも犯罪を未然に防げないダメ探偵ぶりは健在でした。
いろいろと評価すべき点があるのですが、本作は音楽にもこだわってお金をかけていました。洋画では当たり前なのですが、邦画で映画音楽にも力を入れだしたのは角川映画からではなかったでしょうか。大野雄二作曲の琴をベースに日本的な情景を織り込んだ静かながら力強い楽曲に挽きつけられました。映画を観た後にLPレコード(1800円)のサウンドトラックを購入して何度も聞いては映像を想い起していました。後世に残る作品には良質の映画音楽が必須です。あらためて計算されて作られた作品であることが理解できます。
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