映画『あかね空』(お薦め度★★)
監督、浜本正機。脚本、浜本正機、篠田正浩。原作、山本一力『あかね空』。2006年日本。人情時代劇映画。出演、内野聖陽(永吉/傳蔵)、中谷美紀(おふみ)、泉谷しげる(源治)、角替和枝(おみつ)、勝村政信(嘉次郎)、武田航平(栄太郎)、細田よしひこ(悟郎)、柳生みゆ(おきみ)、鴻上尚史(常陸屋)、津村鷹志(上州屋)、石井愃一(武蔵屋)、石橋蓮司(清兵衛)、岩下志麻(おしの)、中村梅雀(平田屋)。
前半は面白かったのですが、後半はさっぱりでした。
何んと言ってもキャスティングのミスです。 内野聖陽の二役と老けない中谷美紀が致命的でした。内野聖陽は演技力があり二役を見事に演じ分ています。しかし、観客としては物語の意図が何となくわかってしまうため想定内のラストとなってどんでん返しの醍醐味は味わえませんでした。二役とせずに別の俳優を起用すべきでした。一方の中谷美紀ですが、前半の娘役は板に付いて良かったものの、後半の子どもたちが成長した後の母親を演じるには役不足でした。もっと特殊メイクで老けさすべきです。前半と後半の歳の差はほとんど感じられません。また、子どもに対する母の情愛を感じさせる演技が出来ておらず、話の中心となる長男に対してはまあまあであっても、次男や末っ子の長女に対しては親子を感じさせるものを表現できていませんでした。彼女には母親役は無理のようです。
映像に関して近景は問題ないのですが、遠景は違和感を感じさせるものばかりです。江戸の深川を全景をVFXで描くシーンが登場しますが、明らかに作り物的にしか見えずがっかりさせられました。町並みのセットもTVドラマのような質感で安っぽく仕上がっていました。浜本正機監督の作品は初めてです。直木賞受賞作の人情時代劇ということで期待したのですが、悪い部分が目立ってしまってファーストコンタクトは不幸な出会いとなってしまいました。原作が良さそうなだけに残念です。
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