新書『変われる国・日本へ イノベート・ニッポン』
著者、坂村健(さかむら=けん)。東京大学大学院情報学環学際情報学府教授。
2007/3/27発行。アスキー新書。
アスキー新書が2007年3月に創刊され、その第一弾で本書をすぐに購入していましたが、1年半ほったらかしにしていました。読んでみると大変読みやすくて2日ほどで読み終えました。いつも感心させられるのは坂村先生の著書はロジカルでわかりやすい構成になっていることです。
本書は「イノベーション」について語られています。国家目標としての「イノベーション」は安倍晋三政権のキャッチフレーズだったそうです。日本政府は、2025年ごろの日本をどうするかに対して「イノベーション25」という委員会を2006年に設立しており、著者もメンバーの1人。ただし、本書はあくまでもイノベーション25戦略会議とは関係が無く、著者個人の考えをまとめたものだそうです。
「オープン」かつ「ユニバーサル」、そして「ベストエフォート」の考えができて初めて、イノベーションを勝ち抜く道が開ける。「イノベーションとは、これまでのモノ、仕組みなどに対して、全く新しい技術や考え方を取り入れて新たな価値を生み出し、社会的に大きな変化をおこすこと」
イノベーションは次の3つに分けられる。
プロダクト・イノベーション←日本は強い
プロセス・イノベーション←日本は強い
ソーシャル・イノベーション←日本は弱いソーシャル・イノベーションは多くの場合「インフラ・イノベーション」で、高速道路、鉄道、電話、インターネットのインフラで日本が考えたものはない。
今、アメリカでインターネットが儲かっているなら、インフラ・イノベーションとしては次を考えなければ成功しない。
次は何かといった時に「ユビキタス・コンピューティング」になる。これこそインターネットの次の世界を制覇するインフラになる。
坂村氏の壮大なビジョンに改めて感服しました。トロンプロジェクトでコンピュータ社会の未来を語っていた頃よりも、更に日本の将来を国家レベルで見据えています。
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