映画『あるスキャンダルの覚え書き』(お薦め度★★★)
監督、リチャード=エアー。脚本、パトリック=マーバー。原作、ゾーイ=ヘラー。原題『NOTES ON A SCANDAL』。2006年イギリス。サスペンス映画。R-15。出演、ジュディ=デンチ(バーバラ=コヴェット)、ケイト=ブランシェット(シーバ=ハート)、ビル=ナイ(リチャード=ハート)、アンドリュー=シンプソン(スディーヴン=コナリー)。
完成度の高い心理サスペンスドラマでした。
二人のオスカー女優の競演は圧巻で見応え十分です。アメリカで実際に起こった女性教師が教え子と関係を持ってしまった「メアリー=ケイ=ルトーノーの事件」をモデルにしたゾーイ=ヘラーの小説を映画化しています。禁断の愛を英国の階級社会にアレンジしてスキャンダラスに描いた作品と想像していましたが、そんな単純な物語ではありませんでした。労働階級の子どもが通う学校で歴史を教えるベテラン老教師バーバラが、転勤してきたブルジョアの美術教師シーバに興味を持ち、やがて彼女の過ちを共有することで、友情だと解釈して執着する過程を主軸にストーリーを展開させて行きます。二重のスキャンダルが交差する構造になっていました。このつくりは見事です。
現代人が抱える孤独から抜け出そうとして、自分自身を見失うという狂気にも似た悲劇を赤裸々に描いています。出来過ぎた作品ゆえ、あまりのおぞましさに評価を抑えました。結構、後々まで記憶に残ってしまう映画かもしれません。
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