映画『ボーン・アルティメイタム』(お薦め度★★)
監督、ポール=グリーングラス。脚本、トニー=ギルロイ、スコット=Z=バーンズ、ジョージ=ノルフィ。原作、ロバート=ラドラム。原題『THE BOURNE ULTIMATUM』。2007年米。サスペンス・アクション映画。出演、マット=デイモン(ジェイソン=ボーン)、パディ=コンシダイン(サイモン=ロス・ガーディアン紙記者)、デヴィッド=ストラザーン(ノア=ヴォーゼン・CIA対テロ極秘調査部長)、ジョーン=アレン(パメラ=ランディ・CIA内部調査局長)、ジュリア=スタイルズ(ニッキー・CIAマドリード支局員)、アルバート=フィニー(アルバート=ハーシュ博士・科学者)。史上最強にして記憶喪失の暗殺者"ジェイソン・ボーン"シリーズの完結編、第3作。アルティメイタムは最後のことば、最後通告の意。
手の込んだ壮大な"鬼ごっこ"と表現できる作品です。
今度は"ブラックブライアー計画"というキーワードが出てきます。前作『ボーン・スプレマシー』以上にわからなくなりました。ボーンが記憶が戻るのか戻らないのかあまり物語に重要では無いように感じます。本人も過去を知ったからといってどうするという葛藤もみられません。何をテーマにしたかったのでしょう。記憶を失った男が、別の人生を歩もうするものの、元の組織が許してくれず逃げるうちに記憶が蘇ってきて「どうするか」が一番の見せ場になるはずです。過去の自分を肯定するのか否定するのか、その選択によって今後の人生をどう生きるのか生きないのかを観客は知りたい。しかし、内面は描かれずにゆる~く終わってしまいました。最強の暗殺者"ジェイソン・ボーン"という存在自体が謎となりました。
第2作に引き続いてボール=ブリーングラスが監督です。本作のアクションシーンの目玉となる接近戦の格闘シーンはいただけません。あまりにも近くで撮り過ぎており、画面一杯で行われる肉弾戦が生理的に受け付けません。迫力ある映像にしたかったのでしょうが、商業映画であって実験的な作品ではないのですから万人受けしつつクールなものを目指すべきでした。
とにかくシリーズを通して各タイトルはピンときませんでした。スパイ映画なので隠れた意味があるのかもしれませんが、原題をそのままカタカナ表記しているだけで、何にも伝わってきません。もう少し工夫があってしかるべきではないでしょうか。
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