映画『ゆれる』(お薦め度★★★)
監督・脚本、西川美和。2006年日本。ミステリー・サスペンス映画。出演、オダギリジョー(早川猛・弟)、香川照之(早川稔・兄)、伊武雅刀(早川勇・父)、新井浩文(岡島洋平・従業員)、真木よう子(川端智恵子)、蟹江敬三(早川修・伯父)、木村祐一(丸尾明人・検察官)、田口トモロヲ(裁判官)、ピエール瀧(船木警部補)。
堂々たる構成力に感心しました。
兄弟の心理的な葛藤と駆け引きは並みではありません。ミステリーとしての編集も見事です。ただし、父親と息子たちの関係と法廷内での検察側と弁護側の攻防は無理があります。どうも現実的ではありません。「兄を取り戻す」というセリフはカッコイイ響きがあるものの、その後の展開では意味がつながりません。もっと練りこむべきでした。2つの場面に連続性とリアリティを持たせれば傑作になったことでしょう。
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» ゆれる [dianyingmi[電影迷]映画のレビュー]
写真家の猛は、母の一周忌で帰郷した。父と折り合いの悪い彼だが、温和な兄・稔とは良好な関係を保っている。翌日、猛は稔、そして幼馴染の智恵子と渓谷へと向かった。智恵子が見せる「一緒に東京へ行きたい」という態度をはぐらかして、一人で自然へカメラを向ける猛。そんな彼がふと吊橋を見上げた時、橋の上にもめている様子の稔と智恵子がいた。そして次の瞬間、そこには谷底へ落ちた智恵子に混乱する稔の姿だけがあった…(goo映画より.画像はAmazonより)
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観終わってからも余韻が残るような作品だと思います... [続きを読む]
受信: 2009.02.27 16:30
» ゆれる [墨映画(BOKUEIGA)]
この映画、映画館で観ていたらきっと泣いていたな。
DVDのレンタルにて鑑賞。
公開中の「ディア・ドクター」が話題の西川美和監督作品。
「ディア・ドクター」はどんどん時間帯が悪くなってしまって、見逃してしまいそうな雰囲気。話題の監督の作品を触れてから観に行こうと思っていたのだが、どうも触れるだけで終わってしまうかも…。
この作品で絵を描くなら、やはり「ゆれる」つり橋でしょう。
「互いの心のように、ゆれる橋。ここを渡った者と残った者と。つなぐのはやはりゆれる橋。」
長男だからという思い。家業を継ぐことな... [続きを読む]
受信: 2009.08.08 12:48
» 「ゆれる」 「檻」の囚われ人 [はらやんの映画徒然草]
「ディア・ドクター」の記事を書いたとき、同じ西川美和監督の「ゆれる」を未見と書い [続きを読む]
受信: 2009.08.09 13:29
» 「ゆれる」 [★☆ひらりん的映画ブログ☆★]
なんとなーーく、邦画のレビューが続いてるひらりん。
本作は、鶴瓶主演の「ディアドクター」も評判の良かった西川美和監督作。
もちろんこの作品の評判も耳にはしてましたが、
兄弟ドラマはあまり興味なかったので敬遠してました。
... [続きを読む]
受信: 2010.02.27 23:05
» 映画「ゆれる」に見る、映画の空気感 [饒舌な寝言]
女性監督、西川和美の「ゆれる」は、そうした数少ない例外のひとつだ。
とくに、クライマックスの裁判シーンの腰の据わった演出に驚かされる。
やや優等生的にも思えた前作「蛇イチゴ」に漂っていた
シニカルなタッチが一掃されていることに、気概を感じた。
上映時間119分に仕上がった「ゆれる」を観ると、
予測していた映画の空気感はある意味見当違いであったのかも知れない。... [続きを読む]
受信: 2010.07.04 22:21
コメント
erabuさん。TB・コメントありがとう。
内容がリアルなだけに細かなツメがないとつながりが悪くなるかも知れませんね。
子供のころの8ミリフィルムを見返しての泣かせ所は、なんだかニューシネマ・パラダイスを彷彿とさせてくれて、少し沁みましたね。
投稿: de-nory | 2009.08.08 12:47
>de-noryさん、コメントありがとうございます。
なかなか期待できる監督ですね。
脚本が強化されると絶賛される作品になると思いました。
泣かせ所も心得ていますね。
投稿: erabu | 2009.08.09 11:12
いつもTBありがとうございます。
>ただし、父親と息子たちの関係と法廷内での検察側と弁護側の攻防は無理があります。どうも現実的ではありません。
このご指摘はよくわかります。不自然さを感じる部分は確かにありました。よけいなことですが、個人的に「木村祐一」が嫌いなので、なおのこと思ったのかもしれません。
でもそういうマイナスを差し引いても、作品自体に流れる文芸作品を読むようなムード、オダギリジョーと香川照之の頑張り、30代の女流監督とは思えない西川美和さんの映画センスのよさにはうならせられました。
投稿: wangchai | 2010.03.09 06:40
>wangchaiさん、コメントありがとうございます。
>よけいなことですが、個人的に「木村祐一」が嫌いなので、なおのこと思ったのかもしれません。
わかります!
彼が映画やドラマに登場すると異質な雰囲気がありますね。
wangchaiさんが評価された通り、かなり質の高い作品だったと思います。西川美和監督は注目すべき作家です。
投稿: erabu | 2010.03.09 23:15