新型インフルエンザ、最悪シナリオの恐怖
昨年10月頃から精力的に新型インフルエンザの情報を収集しています。
昨日「パンデミックサミット~迫る新型インフルエンザへの明確な処置・対応~」講演会※に参加しました。非常に有意義な内容でした。
特に3番目の国立感染症研究所の研究員・岡田晴恵(おかだ=はるえ)さんの講演内容に衝撃を受けました。予定されていたウイルス第三部長・田代 眞人(たしろ=まさと)氏の急遽代理で登壇されました。
主な内容は次の通りです。
■ヒトに感染する新型ウイルスの出現は「Ifの問題ではなくWhenの問題」、つまり「いつ起きるのか」が問題。
■新型インフルエンザの脅威は、最悪のシナリオに基づいて対策を立てる必要がある。
■過去の新型インフルエンザ、スペイン風邪(1918)、アジア風邪(1957)、香港風邪(1968)は弱毒型。
■強毒性を保持した新型インフルエンザ出現も想定(最悪のシナリオ)される。
■米国保健省パンデミック準備計画(2007年)の推定、致死率20%で650万人が死亡(64万人を日本政府は見直し中)。
■H5N1型高病原性鳥インフルエンザウイルスは「インフルエンザ」の概念とは異なる新しい重症疾患。
-「インフルエンザ」=ウイルス感染は呼吸器上皮に限局。
-H5N1型は、発熱(38℃以上)、全身感染、重症肺炎、多臓器不全、ウイルス血症、腸管感染、脳炎、高致死率(小児・若年成人を中心に致死率60%以上)。
■新型インフルエンザ対策
-抗インフルエンザ薬
・2935万人分(人口比23%)。
-プレパンデミックワクチン
・2000万人分(人口比16%)。
・接種対象者:医療従事者、社会機能維持者。
・罹患しても重症化しないと期待されている。スイスでは全国民分に接種して季節型インフルエンザ並の健康被害に押さえ込む戦略。
-パンデミックワクチン
・実際に新型インフルエンザウイルスが出現した後に、新型インフルエンザに基づいて開発・製造するワクチン。
・6ヶ月以上の時間がかかる。
-----------------------------------------------------
罹患すると急激に重症化してしまうので、従来のインフルエンザのように高熱が出て寝れば直るものではなく、罹患すると急激に進行する重症肺炎で人工呼吸器が必要となるそうです。まさに映画『感染列島』で描かれたシーンのように、病院のベッドで治療しているにもかかわらず、目や口、鼻から出血して絶命してしまう惨状が展開されるようです。
季節型インフルエンザは高齢者の死亡が多いのとは逆に強毒型は40歳以下の小児・若年成人に致死率が高いことも大きな違いとして認識しました。本当に恐ろしいです。日本もスイスと同じ英断をすべきだと強く思います。
-----------------------------------------------------
※【パンデミックサミット】
◆会期:2009年3月4日(水)
◆開催時間:10:00~17:00 (受付9:15~)
◆会場:東京国際フォーラム Hall-C
◆主催:新型インフルエンザ対策コンソーシアム
パンデミックフルー対策コンソーシアム
◆URL: http://www.idg.co.jp/expo/pandemic/
【講演プログラム】
①新型インフルエンザの脅威に挑む
~被害抑制に向けた国の取組みと行動計画~
衆議院議員 自由民主党(元厚生労働大臣)
与党鳥由来新型インフルエンザに関する対策プロジェクトチーム座長
川崎 二郎
②政府の新型インフルエンザ対策
厚生労働省
健康局結核感染症課 感染症対策企画調整官
正林 督章
③人間と新型インフルエンザとの戦い ~過去、そして未来~
国立感染症研究所
ウイルス第三部長
田代 眞人 → 代理:研究員 岡田晴恵
④待ったなし! 企業に求められる新型インフルエンザ対策
~ まだ見ぬ “脅威” に備える企業が勝つ ~
株式会社インターリスク総研
研究開発部長 主席コンサルタント
東京医科歯科大学大学院 非常勤講師
本田 茂樹
⑤事例講演1
グローバル企業における新型インフルエンザ対策
-3Mの対策について
住友スリーエム株式会社
特別顧問/前代表取締役副社長
金子 剛一
⑥事例講演2
新型インフルエンザを想定した我が社の事業継続計画(BCP)
株式会社城南電器工業所
新事業創成本部 本部長
常務取締役
山本 光世
| 固定リンク
コメント
岡田晴恵女史は、作家であって研究者じゃない!
という批判が多いです。そもそもにインフルエンザの専門家では無い。
専門家の意見もご参考に
http://newinfluenza.blog62.fc2.com/
http://homepage3.nifty.com/sank/jyouhou/BIRDFLU/index2.html
投稿: 親爺 | 2009.03.10 11:11
>親爺さん、コメントありがとうございます。
>そもそもにインフルエンザの専門家では無い。
そうなんですか。参考にさせていただきます。
投稿: erabu | 2009.03.10 22:00