映画『つぐない』(お薦め度★★★)
監督、ジョー=ライト。脚本、クリストファー=ハンプトン。原作、イアン=マキューアン『贖罪』。製作、ティム=ビーヴァン、エリック=フェルナー、ポール=ウェブスター。撮影、シェイマス=マクガーヴェイ、音楽、ダリオ=マリアネッリ。原題『Atonement』。2007年イギリス。文芸映画。PG-12指定。出演、キーラ=ナイトレイ(セシーリア=タリス)、ジェームズ=マカヴォイ(ロビー=ターナー)、シアーシャ=ローナン(ブライオニー=タリス、13歳)、ロモーラ=ガライ(ブライオニー=タリス、18歳)、ヴァネッサ=レッドグレーヴ(ブライオニー=タリス、老年)、ブレンダ=ブレシン(グレイス=ターナー)、パトリック=ケネディ(リーオン=タリス)、ベネディクト=カンバーバッチ(ポール=マーシャル)、ジュノー=テンプル(ローラ=クィンシー)。
作品紹介(WOWOWオンラインから引用)
「プライドと偏見」に続くコンビ、J・ライト監督&K・ナイトレイ(「パイレーツ・オブ・カリビアン」シリーズ)の主演で映画化した感動作。多感な少女が無垢なるがゆえに堅く信じて行なった1つの目撃証言と、そのせいで運命を大きく狂わされてしまう、1組の愛し合う男女。彼らがたどる苛酷な人生と切ない悲恋の行く末、少女の贖罪の成否を、重層的な語りを通して精緻に描写。絶賛されて数々の文学賞をさらった原作に引き続き、それを映画化した本作も、第80回アカデミー作曲賞、2007年英国アカデミー作品賞など多くの映画賞を受賞。
ジョー=ライト監督の『プライドと偏見』が非常に良かったので、次作となる『つぐない』は映画館での鑑賞を考えていた作品でした。WOWOWで観ることになりましたが、期待していた分だけ物足りなさを感じました。
そもそも主人公が誰なのかわかりません。前半はキーラ=ナイトレイ、中盤はジェームズ=マカヴォイ、後半はブライオニー=タリス役のロモーラ=ガライなのでしょうか。クライマックスの意外性を強調するために仕掛けた手法なのでしょうが、このように主人公が持ち回る変則的な作品は馴染めません。タイトル通りであれば、一貫して次女の視点で描くべきではないでしょうか。 また、ブライオニー=タリスを3人が年代別に演じていますが、13歳役のシアーシャ=ローナンから18歳役のロモーラ=ガライは繋がりません。印象が違います。重要なキャスティングは失敗していました。先に書きました通り「一貫して次女の視点で描く」ならば、主役は18歳役のロモーラ=ガライであり、彼女を中心に出演者を組み立てるべきでしょう。そうすれば土台がしっかりした物語になっていったと思います。ただし、彼女は華がありませんので別の女優を起用すべきです。
どうも本作はキーラ=ナイトレイありきで作ったようにしか感じられません。その辺りが評価できないのかもしれません。
ところで、少女の贖罪がテーマですが、そもそも姉と彼氏が人に見られる所でSEXするのがいけない訳で、彼氏は次女が自分に対して興味があることを知っていて読まれるはずの手紙を渡すこと自体が罪なので、ある意味自業自得的な要素を含んでいるため次女が必要以上に罪を感じるのは可哀想に感じました。したがって本作のテーマはあまり響きませんでした。
本編を的確に表現した格調高い予告編です。
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2008年4月12日 公開作品
2008年9月25日 DVDリリース
★★★★★ お見事!星5つです!
やっぱさぁ、そういうことする時はカギ・・・閉めといたほうがいいね。
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注目していたのだけど、ブライオニーの美しい姉
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1930年代、戦火が忍び寄るイギリス。政府官僚の長女セシーリア(キーラ・ナイトレイ)は、兄妹のように育てられた使用人の息子、ロビー(ジェームズ・マカヴォイ)と思いを通わせ合うようになる。しかし、小説家を目指す多感な妹ブライオニー(シーアシャ・ローナン)のついたうそが、ロビーに無実の罪を着せ、刑務所送りにしてしまう。
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つぐない
監督 ジョー・ライト
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コメント
erabuさん こんにちは~♪
GW前は仕事が忙しく必死で働いたのに休日はあっと言う間に終わっちゃいますね(笑)
GW映画は観たいと思うものが無く、全く予定していなかった『チェイサー』は儲けものでした。
さて、本作ですが、私も主人公がキーラ・ナイトレイだとばかり思ってました。
いざ鑑賞してみると序盤こそ彼女は目立ってましたが、その後は脇役的な存在ですものね。
やはり彼女のネームバリューがないと観客を呼べないと思ったのでしょうか。
ほんと、そもそもこうなったのも誰かに見られるような所でしてた二人が・・・って思ってしまいますよね。
投稿: なぎさ | 2009.05.08 09:05
この映画の主人公はブライオニーですよ。
彼女の回顧録というのがラストで明かされていますから。
投稿: にゃむばなな | 2009.05.08 15:31
>なぎささん、コメントありがとうございます♪
>休日はあっと言う間に終わっちゃいますね(笑)
本当ですね。もっと休みたいです。
>全く予定していなかった『チェイサー』は儲けものでした。
★5つと評価されてますよね。
気になっていたので行きつけの東宝シネマを確認したのですが、上映されてませんでした。機会があれば観てみます。映画館で無理でも韓国映画なのでWOWOWで必ず放映されると思いますのでチェックします。
>私も主人公がキーラ・ナイトレイだとばかり思ってました。
ポスターなどの宣伝を見る限り、彼女の作品だと思い込んでしまいますよね。
ジョー=ライト監督は彼女に思いのほか入れ込んでいるように感じます。
これから先も彼女と組みそうですね。
投稿: erabu | 2009.05.09 00:20
> にゃむばななさん、コメント感謝です。
>彼女の回顧録というのがラストで明かされていますから。
そうですよね。
最後まで観ないとわからない作りが、今一歩に感じました。
ブライオニーが最初から回想している構成で作ってくれると、より贖罪のテーマが表現されるのではと思いました。
投稿: erabu | 2009.05.09 00:24
TBありがとうございました。
13歳の少女がついた嘘、しかし、初恋の
人でありお姉さんを強姦していたと錯覚が
嘘を引き起こしたのかもしれませんね。
その嘘で引き裂かれ、結ばれなかった二人。
ブライオニーの最後のつぐないは、
許されたのでしょうか?
嫉妬はときに真実を曲げてしまうのかもしれませんね。
今度、訪れた際には、
【評価ポイント】~と
ブログの記事の最後に、☆5つがあり
クリックすることで5段階評価ができます。
もし、見た映画があったらぽちっとお願いします!!
投稿: シムウナ | 2009.05.10 10:02
>シムウナさん、コメントありがとうございます。
>嫉妬はときに真実を曲げてしまうのかもしれませんね。
そうですね。
ブライオニーは嘘をついたのではなく、見えたと思い込んでしまったのだと思います。
そして、本当に見た人はロビーでなかったことが後からわかったという流れだと思います。
したがって、贖罪を自分に強要する必要は無かったのではないのでしょうか。
あまりにブライオニーが哀れでした。
投稿: erabu | 2009.05.10 22:13
こんにちは^^
トラックバックありがとうございました^^
プライドと偏見の出来具合から私も実はこの作品楽しみにしていたのですが…
重厚で切ない作品であることはまちがいないのですが、
個人的には思っていたほどの作品ではなかったのが少し残念です
ただ、少女から女性へと変わったときの違和感が、むしろ素晴らしかったなと思います
少女らしい無邪気さ純粋性が消え、ロモーラ=ガライさんの表情が、彼女が自分がしてしまったことにたいしてどれだけ苦しんできているのかというのが伝わってきました
投稿: ヨヨ | 2009.05.15 09:48
ヨヨさん、コメントありがとうございます。
>個人的には思っていたほどの作品ではなかったのが少し残念です
同感です。
ジョー=ライト監督への期待はかなりありました。
>ロモーラ=ガライさんの表情が、彼女が自分がしてしまったことにたいしてどれだけ苦しんできているのかというのが伝わってきました
そうですね。苦しんだのはわかります。
しかし、最後のインタビューから考えると姉にも彼氏にも会っていなかったわけで、現実のつぐないが無かったわけです。厳しい言い方をすれば事実の重みがない"苦しさ"に終わったのではとも感じられました。
投稿: erabu | 2009.05.15 12:37