映画『ターミネーター3』(お薦め度★★)
監督、ジョナサン=モストウ。脚本、ジョン=ブランカトー、マイケル=フェリス。原題『TERMINATOR 3: RISE OF THE MACHINES』。2003年米。SF映画。出演、アーノルド=シュワルツェネッガー(T-850型ターミネーター)、ニック=スタール(ジョン=コナー)、クレア=デインズ(ケイト=ブリュースター)、クリスタナ=ローケン(T-X型ターミネーター)、デヴィッド=アンドリュース(ロバート=ブリュースター)、マーク=ファミリエッティ(スコット=ピーターソン)、アール=ボーエン(ドクター・シルバーマン)。
記憶からこの作品は消去されていました。2004.07.10に本作のレビューを書いていたのに自分でも信じられません。
『ターミネーター4』鑑賞後、これまでのシリーズをおさらいをしてきました。『T1』と『T2』はだいたい覚えていましたが、本作の『T3』はワンシーンすら思い出すことができません。観始めると各パートが蘇ってきて少し先の展開がみえてきました。しかし、全てが思い出せる訳でなく、ちょっと先の場面だけがわかる程度でした。よっぽど記憶に残しておきたくない作品だったようです。したがって、ラストの腑に落ちない感覚も過去と同じように感じることができました。これはラッキーと言えるのでしょうか? (笑)。
キャスティング、演出、映像ともにシリーズ最低でしょう。過去2作品のレベルに達していません。キャスティングは破滅的でした。ジョン=コナー役のニック=スタールの緊張感の無い顔立ちには改めてがっかりさせられました。どうしてこんな人を選んだのでしょう。彼の存在がサスペンス性を台無しにしてしまいました。ケイトの父親役のデヴィッド=アンドリュースも重要な人物に似つかわしくありません。もっと重厚な存在感のある役者を用意すべきでした。リサ=ステッグマイヤー似のケイトも魅力薄です。新たに登場した主要人物が全壊しています。
シュワルツェネッガーの撮られ方もかわいそうです。彼自身が『T1』と『T2』のパロディとされてしまいまいした。ジョン=コナーにとって親戚の小父さんのようです。殺人マシンとしての凄みがありません。絶対的な恐怖を与える存在が笑われる扱いをされるようではお仕舞いです。
T-X型の凄過ぎる右腕の光線銃はシリーズに似つかわしくない兵器でした。『T2』に登場したT-1000型よりも強力に武装させた結果が、とんでもないものになってしまいました。したがって、車の上に乗って屋根をカッターで開けようとする行為が陳腐すぎて攻撃のバランスが崩れていました。T-850型との戦うシーンも重量感が無く人形っぽさを感じさせて特撮シーンは失敗しています。『T2』よりもアクションシーンは旧さを感じさせました。
それでも、物語の設定は練られており、未来のジョン=コナーがどうなったが語られていてタイムパラドックスのストーリーとしては何とかクオリティは維持されていました。別の力のある監督が撮っていればもっと面白い作品になっていたかもしれません。
本作を観て、改めて『T4』の素晴らしさに気づきました。
この『T3』で失速させたシリーズを、見事に立て直しています。『T3』も含めて過去のシリーズで重要なエピソードを踏襲して、不整合な部分を吸収しながら新展開に持って行ってくれた脚本の見事さは天晴れと言うしかありません。本当によく出来ています。
『T4』に敬意を表して再び劇場鑑賞を行う予定です。また、6月28日まで行われている日本科学未来館の『ターミネーター展』にも足を運びたいと思います。
予告編はそれなりのレベルではありました。
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コメント
こんばんは。TBありがとうございます。
いいところを見つけるのが難しい映画でした(笑)。
しかし、これでシリーズも終わりかと思えたのに、新しい展開の4が作られるとは・・・待ったかいはありましたね。
投稿: nocci | 2009.06.25 01:07
>nocciさん、コメントありがとうございます。
>しかし、これでシリーズも終わりかと思えたのに、新しい展開の4が作られるとは・・・
全くです。
別の切り口で、しっかりと設定を固め直してくれて非常にありがたい作品に仕上げてくれました。
新たにまた楽しみが増えました。
投稿: erabu | 2009.06.25 22:16