映画『誰も守ってくれない』(お薦め度★★★★)
監督、君塚良一。脚本、君塚良一、鈴木智。2008年日本。主題歌、リベラ「あなたがいるから」。社会派ドラマ映画。出演、佐藤浩市(勝浦卓美・東豊島署刑事)、志田未来(船村沙織)、松田龍平(三島省吾・東豊島署刑事)、柳葉敏郎(本庄圭介)、石田ゆり子(本庄久美子)、木村佳乃(尾上令子・精神科医)、佐々木蔵之介(梅本孝治・新聞記者)、東貴博(佐山惇・梅本の後輩)、佐野史郎(坂本一郎・東豊島署暴力犯係係長)、津田寛治(稲垣浩一・東豊島署一係刑事)。
作品紹介(WOWOWオンラインから引用)「踊る大捜査線」シリーズを手がける脚本家・君塚良一が、同作のリサーチの中から生まれた構想を、自らの監督で描いた話題作。犯人側の人権ばかりを重んじると非難される警察の葛藤、知る権利を盾に弱い立場の容疑者一家を追い詰めるマスコミやネットの暴力性などの重いテーマを扱いながら、「踊る~」シリーズで培ったスピーディな展開を加味し、一級の社会派エンタテインメントに仕上げて見せた。「ザ・マジックアワー」の佐藤浩市が刑事を好演、彼が保護する少女にドラマ「14才の母」の志田未来。共演は松田龍平、柳葉敏郎など。
秀作です。胸に突き刺さりました。
今年1月に本作の4ヶ月前に起きた事件を描いた対のドラマ「誰も守れない」を観て、劇場鑑賞を見送ったのは大失敗でした。フジテレビの上手な番宣に乗せられてはいけないと考えすぎて映画を過小評価してしまいました。これほど素晴らしい作品だとは想像していませんでした。TVドラマよりも深い人間模様が過酷に迫ってきます。"加害者家族の保護"というテーマで刑事と少女との逃避行によって、現代が抱えてしまった情報化社会の暗部をえぐり出します。正義の名の下に暴徒化するマスゴミ(コミ)とプライバシーを徹底的に暴こうと暴走を加速するネットの恐怖がリアルで絶望的です。
キャスティングが文句無しでした。佐藤浩市の公私共に追い詰められる迫真の演技、殺人犯の妹という難しい役に体当たりした志田未来、被害者遺族の複雑過ぎる想いを表現した柳葉敏郎の3人は特に見事でした。脚本、演出、編集も高レベルです。そしてリベラの天使のような歌声が非常に効果的で圧倒されました。君塚良一は監督としても大成されると思います。
本作は観なければならない映画です。日本映画製作者連盟は9月9日に、来年3月にロサンゼルスで行われる第82回アカデミー賞の外国語映画部門の日本代表に本作を選出しています。今年の『おくりびと』に続いてアカデミー賞を受賞するだけの価値ある作品だと思います。
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コメント
>これほど素晴らしい作品だとは想像していませんでした。
>脚本、演出、編集も高レベルです。
同感です。
若き友人の勧めで初めて観ましたが、もっと早く知るべきでした。序盤からスピード感があり、途中で息継ぎをあまりせずに後半までもっていく映画づくりのうまさにうならされました。
またよろしくお願いします。
投稿: wangchai | 2010.08.20 05:43
>wangchaiさん、いつもありがとうございます。
>もっと早く知るべきでした。
本当ですね。
劇場鑑賞したかったです。
君塚良一監督の次回作に期待したいと思います。
投稿: erabu | 2010.08.22 17:01