映画『アメリカン・ギャングスター』(お薦め度★★★)
監督、リドリー=スコット。脚本、スティーヴン=ザイリアン。2007年米。クライム映画。R-15指定。出演、デンゼル=ワシントン(フランク=ルーカス)、ラッセル=クロウ(リッチー=ロバーツ)、ルビー=ディー(ママ=ルーカス)、キューバ=グッディング=ジュニア(ニッキー=バーンズ)、ジョシュ=ブローリン(トルーポ)、キウェテル=イジョフォー(ヒューイ=ルーカス)、THE RZA(モーゼス=ジョーンズ)、コモン(ターナー=ルーカス)。
作品紹介(WOWOWオンラインから引用)大都市NYでカリスマ性と度胸を武器にギャングの頂点にのし上がっていく男と、家庭生活より仕事を大事にする猛烈刑事。アクションを絡めて“対決”という題材を得意とする大物R・スコット監督(「グラディエーター」「ワールド・オブ・ライズ」他でもクロウと組んだ)らしく、戦う男たちの世界を骨太のタッチで描き切った、迫力満点の佳作だ。驚くべきラストまで実話が下敷きなのも見ごたえに貢献。ワシントンとクロウの初顔合わせに加え、短い出演ながらアカデミー助演女優賞にノミネートされたベテラン、R・ディーの存在感も光る。
リドリー=スコット監督作としては、あっさりな作りでした。
実話に基づいた作品であると冒頭のテロップで表示されますが、リアリティはそれほど感じません。ストーリーも所々説明不足でよくわかりませんでした。特に疑問に感じたのは、主人公のフランク=ルーカスが白昼堂々と多くの目撃者がいる前で敵対する人間を射殺したのに、逮捕されるわけでもなく、ニュースになるわけでもなく、何も無かったように進行するのがとても奇異に思えました。そもそもデンゼル=ワシントンが実在の人物を真似たとはいえ、ギャングの親玉には全く見えません。ラッセル=クロウが演じる刑事も家庭人失格のうえ、相棒の刑事を巻き込んでいながら突き放すという人物像がどうもしっくりきませんでした。作品の核となる二人が魅力の無いキャラクターでは面白くなるはずがありません。
物語としては驚くべき内容でした。ベトナム戦争時の米軍がヘロインを米国内に空輸していたことや、ギャングから警察が押収した麻薬を悪徳警官が横流ししてそれを薄めて再びギャングに売りつけることとか、フランク=ルーカスが逮捕されて司法取引をして、明らかになったのがニューヨーク市警の3/4が犯罪に手を貸していたこととか1960~70年代のニューヨーク社会が腐敗しきっていた姿は想像を絶していました。にもかかわらず、本作が映し出す風景はきれいで、裏社会の醜い汚さを描いておらず物足りなさを感じました。
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