映画『チェンジリング』(お薦め度★★★)
監督、クリント=イーストウッド。脚本、J=マイケル=ストラジンスキー。2008年米。PG-12指定。ヒューマン・サスペンス映画。出演、アンジェリーナ=ジョリー(クリスティン=コリンズ)、ジョン=マルコヴィッチ(グスタヴ=ブリーグレブ牧師)、ジェフリー=ドノヴァン(J=J=ジョーンズ警部)、コルム=フィオーレ(ジェームズ=E=デーヴィス警察本部長)、ジェーソン=バトラー=ハーナー(ゴードン=ノースコット)。
作品紹介(WOWOWオンラインから引用)
不意に謎の失踪を遂げ、5か月に及ぶ捜索の後、警察の手で母親のもとに戻された9歳の息子。しかしそれは、愛する我が子とは似ても似つかぬ別人だった……。1920年代のLAで実際に起きた驚くべき事件を、2度のアカデミー監督賞に輝く名匠C・イーストウッドが鮮烈なタッチで映画化。あまりにも明らかな捜査ミスを認めるどころか、その揉み消しに躍起になる警察組織の不正・非道に必死に抗いながら、不屈の闘いを続けるヒロインを人気女優A・ジョリーが迫真の演技で熱演(アカデミー主演女優賞にノミネート)。熱い涙と感動を誘う。
力作です。
おぞましい連続少年誘拐殺人事件と腐敗しきった警察に対峙したシングルマザーの執念を淡々と冷徹に描き切っています。物語の構成が素晴らしく、ラストに展開する聴聞会と裁判、死刑執行の重苦しい場面をを必要不可欠な部分だけ大胆に編集して、シンプルでわかりやすく淀みないテンポで乗り切りました。クリント=イーストウッド監督の豪胆な手腕には驚かされます。年齢からは想像できない若々しい感性がみなぎっていました。
約80年前のゴードン=ノースコット事件とのことですが、ロス市警のあまりの堕落ぶりはこの凶悪事件並みの存在でした。黒を白と言い切って、従わない人間を精神病院送りにする短絡的な権力の暴走は想像を超えていました。それに加担する医師たちの醜さも噴飯ものでした。人並み以上の知識があるにもかかわらず、誰にも通用しない屁理屈で主人公を追い込む、良心のかけらも無い姿は絶望的になりました。よくぞこれらの巨悪に主人公は戦えたものです。その精神力に頭が下がりました。また、警察から嘘つきの子どもを押し付けられても、生活を伴にする責任ある大人の態度は崇高でした。真に勇気ある人間の物語を記憶に留めたいと思います。
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