映画『ノーカントリー』(お薦め度★★★)
監督・脚本・編集、ジョエル=コーエン、イーサン=コーエン。原作、コーマック=マッカーシー『血と暴力の国』。原題『No Country For Old Men』。2007年米。クライム映画。R-15指定。出演、トミー=リー=ジョーンズ(エド=トム=ベル保安官)、ハビエル=バルデム(アントン=シガー・殺し屋)、ジョシュ=ブローリン(モス)、ウディ=ハレルソン(カーソン=ウェルズ)、ギャレット=ディラハント(ウェンデル)、ケリー=マクドナルド(カーラ=ジーン・モスの妻)。第80回(2007)アカデミー賞(脚色賞、作品賞、助演男優賞、監督賞)受賞。
作品紹介(WOWOWオンラインから引用)
「ブラッドシンプル/ザ・スリラー」「ファーゴ」など、今や米映画界にとって貴重となった作家性を刻み続ける鬼才コンビ、コーエン兄弟がC・マッカーシーの「血と暴力の国」を映画化。全編にわたって緊張感あふれるサスペンス&バイオレンスが展開する一方、T・L・ジョーンズ演じる老保安官が時代の荒廃を嘆く姿も描くなど現代への警告も盛り込み、単なる娯楽を越えた見ごたえ満点の傑作に仕上げた。キャストでは、不思議な髪形(?)も含め、圧倒的な恐怖感を醸した殺し屋役J・バルデム(アカデミー助演男優賞受賞)がやはり圧倒的。
息苦しいほど重たい作品でした。
何んといっても得体の知れない最悪の殺し屋シガーには参りました。情け容赦ない彼のルールは理不尽過ぎて嫌悪感しか与えません。恐怖のシンボルとして圧倒的な存在感を示しました。彼こそが米国の暗部を象徴しており、社会正義が通用せずにラストを迎えるところに、いまだにこの国が抱える闇を表現していたように思います。老保安官との対決も無いまま、何んともスッキリしない終わり方でした。それだけ根が深いということなのでしょう。
過去にジョエル=コーエン監督作の『ディボース・ショウ』を非常に評価しました。ロマンチック・コメディとしての傑作でした。バイオレンスでもこれだけの骨太な作品を手掛けるとは恐れ入りました。
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