映画『桜田門外ノ変』(お薦め度★★)
監督、佐藤純彌。脚本、江良至、佐藤純彌。原作、吉村昭。2010年日本。時代劇映画。出演、大沢たかお(関鉄之介)、長谷川京子(関ふさ)、加藤清史郎(関誠一郎)、柄本明(金子孫二郎)、生瀬勝久(高橋多一郎)、渡辺裕之(岡部三十郎)、中村ゆり(いの)、渡部豪太(佐藤鉄三郎)、須賀健太(高橋荘左衛門)、本田博太郎(桜岡源次衛門)、温水洋一(与一)、北村有起哉(安藤龍介)、田中要次(稲田重蔵)、坂東巳之助(有村次左衛門)、永澤俊矢(西郷隆盛)、池内博之(松平春嶽)、榎木孝明(武田耕雲斎)、西村雅彦(野村常之介)、伊武雅刀(井伊直弼)、北大路欣也(徳川斉昭)。
全くの期待外れです。
物語は大老・井伊直弼襲撃事件がラストだとばかり思っていたのですが、事件が導入シーンになっていて、その後に、襲撃に至る経緯と事件の顛末が描かれています。この構成ではヒットしません。そもそも何で最後に討ち入りでクライマックスを迎える「忠臣蔵」のようなストーリーにしなかったのでしょうか。
本作は今年の夏から期待していました。本作が面白ければ、佐藤純彌監督の前作『男たちの大和/YAMATO』のようにロケ地を訪れることになっていたはずです。しかし、これほど面白くない作品ではロケ地巡りをしたいとは思いません。10月16日に公開されてから、良い評判が伝わってこないので見逃そうとも考えていました。観終わって後悔しています。この内容であれば映画というよりもドキュメンタリーとして製作されたほうが合っていました。NHKで過去に放送されていた「歴史発見」のような番組です。
本作はどこまで史実に忠実なのかわかりませんが、事件の実行者たちは悲惨そのもでした。大儀のために立ち上がったのに梯子を外された典型です。どうして徳川斉昭は事件の当事者を守ろうとしなかったのでしょうか。本作では単なるバカ殿でしかありません。全く身内を守ることなく、あっさりと死んでしまって、無責任というか主人公たちの志しの高さから考えて身勝手としか言いようがありませんでした。また、主人公の関鉄之介も脳天気でした。家族への影響を考えなかったのでしょうか。特に妾は拷問されて死んでしまうという無警戒ぶりは言葉もありません。ラストでは感傷的に描かれていましたが、元々主人公として扱うべきではなかったのです。こんな人物をクローズアップしたのでは「忠臣蔵」のような鉄板ドラマになるはずがありません。
がっかりしたのでネガティブなレビューになってしまいましたが、評価できたのは中村ゆりの起用でした。着物姿が美しかったです。色っぽい役も良いですね。『パッチギ! LOVE&PEACE』以来でしょうか。もっと観たい女優です。
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コメント
erabuさん。こんにちは。
やはり、ストーリーの構成に疑問を感じられてますね。
私もどうかな?と思っています。
何故にして、この謀反を企てる必要があったのか。
という方向性の方が分かりやすかったし、楽しめた作品になったでしょう、と思います。
どうしても、「直弼の首ひとつの為に多くの命が犠牲になる。」を描きたかったのでしょうね。
しかし、それにしても関連する人物像は希薄な描き方だったように思います。
中途半端なんでしょうか。
投稿: de-nory | 2010.11.15 12:34
>de-noryさん、先にコメントいただき感謝です。
2作続けてネガティブなレビューだったので、少し躊躇しました(笑)。
>しかし、それにしても関連する人物像は希薄な描き方だったように思います。
そうですよね。これによって襲撃シーンに共感することができずにドラマ性を感じることができませんでした。
かなり期待して待っていた作品なので、残念でしかたありません。
投稿: erabu | 2010.11.16 15:21