映画『最後の忠臣蔵』(お薦め度★★★★)
監督、杉田成道。脚本、田中陽造。原作、池宮彰一郎『最後の忠臣蔵』。2010年日本。時代劇映画。出演、役所広司(瀬尾孫左衛門)、佐藤浩市(寺坂吉右衛門)、桜庭ななみ(可音)、山本耕史(茶屋修一郎)、風吹ジュン(きわ)、田中邦衛(奥野将監)、伊武雅刀(進藤長保)、笈田ヨシ(茶屋四郎次郎)、安田成美(ゆう)、片岡仁左衛門(大石内蔵助)。
心に深くしみ込む秀作でした。
しかし、日本人の魂が反映される時代劇が東宝や松竹で無く、ワーナーブラザーズ作品であるとは複雑です。良い作品であればあるほど外国資本で製作されるのは抵抗感があります。是非とも日本の映画会社に頑張って欲しいものです。
説明しない脚本ですが、日本人が共通して認識している武士のあるべき姿を情緒豊かに描いています。役所広司の演技が素晴らしいです。顔の表情から生き様が滲み出ました。ヒロインの可音(かね)を演じた桜庭ななみの可憐で美しい存在が一層物語の格調高さを引き出していました。
ところで、ラストについて物申したい。あのような結末で描いて欲しくなかったです。タイトル通りと言われればそれまでですが、目的を達成しての最後として別の道を俺的には選択して欲しかったと思います。忠臣蔵を“死”として終わらせるのではなく、“生”とする画期的な解釈であっても大いに賞賛したでしょう。もちろんそのままであってもリアルさは必要ではなく、それとなく感じさせる余韻のある演出が合っていたでしょう。残念ながら仏壇を前に裃を着た役所広司の場面に行くまでにそれまでの感動が潮が引くように引いてしまいました。外国資本だと世界マーケットに向けてしっかり終わらせなければならなったのかもしれません。
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