武田邦彦著『原発事故 残留汚染の危険性』
著者、環境学者・中部大学教授 武田邦彦。
発行、2011年4月30日、朝日新聞出版。
原発震災をもたらした元凶がわかりました。これまで事故を起こした東京電力と情報操作する政府にばかりに注目してきましたが、どうやら最も災いをもたらしたのは国である経済産業省の「原子力安全・保安院」のようです。事故発生からこれまでの展開で疑問に感じていたことが、「原子力安全・保安院」の役割を本書で知ったことで辻褄が合うようになってきました。今後の事故調査によって事実関係が検証されることでしょうが、武田教授が本書で次の述べられたことにつきると思います。
「著者はテレビで保安院の会見を見て、一度も謝らないのにビックリしています。原子力の安全確保を図る組織として許認可権や審査権を持ち、普段から安全の指導をしているわけですから、その許認可や審査、安全指導が間違っていたということが大きな事故で証明されたわけです。
さらに、福島原発の事故が「地震と津波」で起こったのならば、それは運転を担当していた東京電力の責任ではありません。どちらかというと東京電力よりも保安院のほうに責任があるわけです。
保安院の命令を東京電力がどこで聞かなかったのか。だから事故が起こったのか。そこをはっきりとする必要があります。
そして、事故の大きさからいって、国は間違いがあるということを認め、保安院を解体し責任者を処罰し、その上で再出発すべきだと思います。」
武田教授のブログは毎日訪問していますが、本書の存在に気付きませんでした。本当に潔い方だと感じます。自らの失敗を反省し、次に生かそうとする前向きな姿勢に感服します。紛れも無い真の科学者です。
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