寅さんの“おばちゃん”三崎千恵子さん大往生
謹んでご冥福をお祈りいたします。
おばちゃん、さようなら。
スポーツ報知から引用します。
“おばちゃん”三崎千恵子さん90歳大往生…寅さんの元へ
スポーツ報知2月15日(水)8時0分故・渥美清さん主演の人気シリーズ「男はつらいよ」(山田洋次監督)の“おばちゃん”役で親しまれた女優の三崎千恵子(みさき・ちえこ、本名・宮阪トシ)さんが13日午後7時15分、老衰のため鎌倉市内の病院で死去した。享年90歳。1939年に松竹入りし、舞台女優を経て再び映画、テレビの世界へ。デビュー以来、庶民的で温かみのある日本女性を演じ続けた名脇役が、また一人逝った。
「下町のおばちゃん」が90年にわたる人生の幕を下ろした。関係者によると、三崎さんは昨年5月頃から体調を崩し、鎌倉市内の病院に入院。13日になって容体が急変した。最期は長女の柴順子さんら親族やマネジャーにみとられ、息を引き取った。
名脇役としての土台は、実家の東京・巣鴨の青物問屋にあった。「大根が大好き。庶民の野菜ですもの。『生活俳優』を自称しているんです」と、常々話していた。「私はダイコン役者」を口癖とし、座右の銘には「らしくありたい」を挙げていた。
女学校卒業後に就職した白木屋(現在の東急百貨店)でコーラス部に所属していた際にスカウトされ、1939年に松竹入り。42年に結婚した俳優の故・宮阪将嘉さん(97年死去)に連れられ、43年に入団した劇団「ムーラン・ルージュ」で森繁久彌さん、由利徹さんらと活動した。同劇団の解散後は宮阪さんと共に活動の場を劇団民芸に移し、67年に退団した。
退団は宮阪さんの両親の世話をする準備のためだったが、その頃に来た仕事が人生を変えることになる。それが、69年の映画「男はつらいよ」だった。予定していた別の女優が出演できなくなったための“代役”。「どうせ最後の仕事にするなら、後世にまで残るものを」と出演した。
渥美さん演じる主人公・車寅次郎のおば・車つね役として出演した映画は大ヒット。三崎さん自身も「寅ちゃん」にどなられると、プーッとふくれる親しみやすい女性として人気を呼び、95年の「寅次郎紅の花」まで全48作に出演した。シリーズが続くにつれ、“おばちゃん”のイメージが強く付くことに悩んだが、山田監督に諭され「ひとつの役をこんなに長くやれるのは幸せ」と、誇りを持って生活感のにじみ出る演技を続けた。
「男はつらいよ」シリーズ以外では、映画「虹をつかむ男」や「キネマの天地」などに出演。テレビドラマでは「白い地平線」や「たんぽぽ」のほか、「渡る世間は鬼ばかり」の初期シリーズで主人公・大吉(故・藤岡琢也さん)が会社員時代に行きつけだった小料理店のおかみで、大吉が板前を目指すようになってからは“師匠”となる「お咲さん」を好演した。
“寅さんファミリー”は渥美さんが96年に死去したのをはじめ、夫婦を演じた3人の“おいちゃん”である森川信さん(72年)、松村達雄さん(05年)、下條正巳さん(04年)も全員死去。ついに三崎さんも、その元へと旅立った。
◆三崎 千恵子(みさき・ちえこ)本名・宮阪トシ。1920年9月5日(戸籍上は21年2月20日)、東京・巣鴨生まれ。東洋女学校(現・東洋女子高校)卒業後、日本橋のデパート・白木屋に入社。39年、歌手として松竹入り。53年、劇団民芸入団を経てフリーに。映画「家族」「川の流れのように」、ドラマ「青春とはなんだ」「LOVE STORY」、舞台「結婚する手続き」などに出演。50年から着付け指導を始め、同年に三越で戦後初の着物ショーを開いた。
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