Kindle本『東電OL禁断の25時』で描かれる被害者女性の救いようの無さが悲しい
著者:酒井あゆみ
発行日:2013年2月1日
発行所:株式会社アドレナライズ
ファイルサイズ:704KB
※1997年10月にザマサダより刊行された『禁断の25時』を改題し、加筆・修正したもの。
「東電OK殺人事件」は、1997年3月19日に、東京都渋谷区円山町にあるアパートの1階空室で、東京電力東京本店に勤務する企画部調査課の副長である女性(当時39歳)が殺害された事件です。
当時、マスコミが大騒ぎしたのでエリート女性が昼の顔と違って夜は娼婦で事件にあったことは知っていました。しかし、それ以上に興味もなかったのですが、福島原発事故により事故時の 勝俣恒久会長が被害者女性の当時の直属上司で取締役企画部長だったことで、「東電OK殺人事件」は再び脚光を浴びました。また、当初有罪とされたネパール人がDNA鑑定の結果、2012年11月7日に再審無罪判決が確定したことで再びマスコミが騒ぎました。
このような事情から、本書を読んでみることにしました。驚くべき内容でした。
本書は事件を追った作品ではなく、1992年頃に被害者女性と同じホテトルに在籍していた筆者が、売春をしていた同士の視点から、被害者女性の事件に至ってしまう転落の経過を、心理面から追求しています。
事件間際には、ホテトルにも留まれなかった被害者女性が“立ちんぼ”という浮浪者や外国人を相手にする最低レベルの街娼に落ちぶれていたことを暴いています。何故外国人が犯人とされたのか不可解でしたが納得できる背景がありました。
それにしても仕事において管理職クラスの人間が、プライベートで浮浪者レベルの行動を取っていたというギャップはとても信じられません。常軌を逸しており、心が壊れていたとしか思えません。
事件に遭遇することが必然であったかのような転落していった人生が哀れでしかたありません。
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