映画『奇跡のリンゴ』(お薦め度★★★)
原作は読んでいませんが、原作のモデルとなった木村秋則さんの『リンゴが教えてくれたこと』を読んでいたので、リンゴを無農薬で栽培して10年目に成功させた理論と、そこに至るまでの苦難の日々は理解していました。だから映画では単純にサクセスストーリーを味わえると考えて鑑賞しました。
しかし、とんでもありません。劇泣きです。
無農薬がリンゴ栽培では、いかに非常識なのかが伝わってきました。失敗が続いてだんだんと村八分に追い込まれ、子供たちは学校でいじめられ、木村秋則は実家の母親にも見放されるという苛烈な日々に陥ります。10年間は長すぎます。成功するには気が遠くなるほどの期間です。収入が無くなった無農薬6年目からの悲惨さは止め処も無く涙が流れ続けました。
何と言っても、山崎努が演じた義理の父・木村征治がもの凄い。娘婿の無農薬栽培を支持して、とことんまで信じ続けた寡黙さが心を強く打ちました。肉親でも諦めた主人公を本当に支えた姿に深い感動を受けました。最期は娘婿の成功を確認できたのか不明でしたが、娘婿を真の息子として信じ続ける魂は永遠です。義理の父がいてこその奇跡のリンゴでした。
作品としては、特別優れたものではありません。何の知識も無く観ていたら印象が薄くなっていたでしょう。映画の冒頭でのエピソードは実話を題材としたものとしてはコメディ調の逸脱した演出でした。ただし、全編を通じてお涙頂戴ではなく出来るだけ明るいトーンで描いたのは、良かったと思います。
<作品データ>
劇場公開日:2013年6月8日
製作年:2013年
製作国:日本
配給:東宝
上映時間:129分
映倫区分:G
<スタッフ>
監督:中村義洋
原作:石川拓治
脚本:吉田智子、中村義洋
音楽:久石譲
<キャスト>
木村秋則:阿部サダヲ
木村美栄子:菅野美穂
木村征治:山崎努
もっちゃん:池内博之
三上幸造:伊武雅刀
三上葺子:原田美枝子
深津:笹野高史
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