将棋棋士・森内俊之のKindle本『覆す力』が深い
著者:森内俊之
発行:小学館eBooks
発行日:2014年2月21日
5月13日放送のTBS深夜バラエティ番組「テッペン!『林先生の痛快!生きざま大辞典』」で負けを追及した男として将棋棋士・森内俊之が取り上げられました。
全く知らない名前です。何と言っても将棋界の羽生善治の存在が絶大で、彼以外の名前を知ることはほとんどありませんでした。森内俊之はいわゆる“羽生世代”の一員で同期生として羽生を目標に地道に努力して開花した方です。遅咲きの棋士で、負けから学び、負けを極め、頂点を目指す男の「生きざま」が披露されました。苦労人の部分に興味を持ったところ、番組の終わりに彼の著書『覆(くつがえ)す力』が紹介されました。
番組終了後にamazonで検索したところKindle本でも売られていたので即購入して読み始めました。
今まで将棋棋士が執筆した本は読んだ記憶がありません。森内俊之の体験談が瑞々しく描かれた彼の半生が綴られています。そして羽生善治との対局を心から喜んでいる思いや、自身を分析して、負けることをプロとして織り込んで日々進歩を図る姿勢に感心させられます。
将棋を野球やサッカーなどスポーツで例えるなど、本書によって将棋の世界がわかりやすく非情に身近に感じられるようになりました。
羽生善治という天才との差をどのように追いつこうと努力を行ってきたかが真摯に語られています。彼は次のように書いています。
「私の長い棋士人生を支えてきたのは、“考える根気”なのではないかと自分では思っている。」
現在、まさに第72期名人戦七番勝負が行われており、3期連続の森内俊之が羽生善治の挑戦を受け、3局を終えて3連敗の後がない状況です。きっと森内俊之は本書で語ったように「負け方が重要」と捉え、「次に向かう」はずです。
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