漫画『聲の形(こえのかたち)』は、いじめを題材にしたファンタジー作品だ
障がい者に対するいじめというセンセーショナルな設定で作られており、原作者・大今良時(おおいま=よしとき)のチャレンジングな姿勢は大したものだと感じますが、物語に全くリアリティがありません。
加害者だった主人公が贖罪を感じて償いたいと願い、さらにラブストーリーへと発展させたいという少年漫画雑誌としてのエンターテイメント性はわかる気がしますが、被害者であるヒロインからの目線は弱く、繊細だけど鈍感という加害者側にとって都合の良い女性像しかありません。原作者は女性なのですから、ファンタジーに登場する妖精のような女性ではなく、生身の女性を描くべきでした。
次元は違うものの、同じ被害者として比較すると、被害者本人が書かれた『性犯罪被害にあうということ』の深刻さは計り知れません。これが現実であり、創作の世界とは全く違うことを感じるだけです。
ちなみに、本作の劇場用アニメを京都アニメーションが制作していることと、「このマンガがすごい!2015」オトコ編第1位との情報から興味を持ち、漫画全7巻を購入して読みました。
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