映画『アメリカン・スナイパー』(お薦め度★)
クリント=イーストウッド監督の最大のヒット作ということで興味がありましたが、元来戦争映画は苦手なので、ようやくWOWOWでの放送で視聴しました。
そもそも、イラク戦争は米国が軍事介入した戦争であり正義はありません。そのようなイラク戦争で活躍した英雄の話をクリント=イーストウッド監督がどう料理するのか興味がありました。
残念がら、反戦映画ではありませんでした。
全編通じて冷徹にドキュメンタリータッチで狙撃手の行動を追いますが、主人公がイラクの狙撃手に向けて撃つ弾丸は、CGで誇張されマトリックスの如くスローモーションで描かれます。これは明らかに報復が必要であることを強調する表現です。
米国人の心情に寄り添った演出かもしれませんが、結局“目には目を”という復讐の連鎖を肯定する話でしかありません。現在のイスラム国やシリア問題など中東の混乱は、イラク戦争の後遺症であると指摘する意見もあります。そもそも無理筋な戦争を仕掛け、世界全体がテロに怯える時代を先導した米国が、更に映画で米兵の活躍を美化することがあるべき姿なのでしょうか。
作品としての完成度が高いという評価よりも、映画自体の意義として考えるとお薦めできる映画では有り得ません。現代版西部劇のような作品です。
以下、WOWOWオンラインから転載。
<作品データ>
原題:American Sniper
製作年:2014年
製作国:アメリカ
内容時間:133分<スタッフ>
監督:クリント=イーストウッド
製作:クリント=イーストウッド、ブラッドリー=クーパー、ロバート=ロレンツほか
脚本:ジェイソン=ホール
撮影:トム=スターン<キャスト>
クリス=カイル:ブラッドリー=クーパー
タヤ=カイル:シエナ=ミラー
マーク=リー:ルーク=グライムス
ビグルス:ジェイク=マクドーマン
ドーバー:ケヴィン=ラーチ<番組紹介/解説>
イラク戦争で米軍史上最多の160人以上の敵を射殺した伝説的狙撃手C・カイル。彼は英雄か悪魔か、その複雑な実像に巨匠C・イーストウッド監督が鋭く迫った衝撃の傑作。2003年に始まったイラク戦争において、公式記録で米軍史上最多の160人(非公式では250人以上)の敵を射殺。味方からは英雄視される一方、敵からは悪魔と恐れられた、今は亡き伝説的狙撃手カイル。故国を愛し、また家族を深く愛しながらも、強い使命感に駆られ、過酷な戦場への遠征を幾度も繰り返した彼の複雑な人間像を、巨匠イーストウッド監督が深く掘り下げて描写。全米で約3億5千万ドルの興収を上げ、彼最大のヒット作となった。主演と共同製作を兼ねて入魂の熱演を披露するのはB・クーパー。
<鑑賞チャネル>
WOWOW
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