映画『プライベート・ライアン』(お薦め度★★)
ノルマンディー上陸作戦以外は、フィクション感が漂います。どちらかというと戦争を肯定するような筋書きです。特にラストはあまりにも創作された物語という印象しか残りません。同監督『シンドラーのリスト』のような反戦の意思は感じられず、共感はできませんでした。
今年観たクリント=イーストウッド監督『アメリカン・スナイパー』と同様で、戦場におけるヒーロー像を描いており、メジャーなアメリカ人監督たちが作る戦争映画は同じ穴のムジナのものとしか感じられません。
ただし、冒頭のノルマンディー上陸作戦のシーンは、圧倒的なリアリティで描かれており、最前線の悲惨さがダイレクトに伝わってきました。このシーンだけでも本作は評価されるべきでしょう。部隊によっては玉砕的な戦闘であったことが理解できました。
世界的に大ヒットしたようですが、ウィキペディアを調べるとエピソードとなった話は存在するものの、救出隊が組織された事実はなかったとのことです。こんな嘘のような創作は許されるのでしょうか。スピルバーグ監督の商業的で薄っぺらいヒューマニズム感にガッカリさせられました。
以下、WOWOWオンラインから転載。
<作品データ>
原題:Saving Private Ryan
製作年:1998年
製作国:アメリカ
内容時間:170分<スタッフ>
監督:スティーヴン=スピルバーグ
製作:スティーヴン=スピルバーグ、イアン=ブライス、マーク=ゴードンほか
脚本:ロバート=ロダット
撮影:ヤヌス=カミンスキー
音楽:ジョン=ウィリアムズ
編集:マイケル=カーン
美術:トム=サンダース<キャスト>
ミラー大尉:トム=ハンクス
ライアン二等兵:マット=デイモン
ホーバス軍曹:トム=サイズモア
ライベン二等兵:エドワード=バーンズ
ジャクソン二等兵:バリー=ペッパー
メリッシュ二等兵:アダム=ゴールドバーグ
カパーゾ二等兵:ヴィン=ディーゼル
ウェイド衛生兵:ジョヴァンニ=リビッシ
アパム伍長:ジェレミー=デイヴィス<受賞歴>
第71回 (1998年) アカデミー賞 監督賞[スティーヴン=スピルバーグ]、撮影賞[ヤヌス=カミンスキー]、編集賞[マイケル=カーン]、音響賞、音響編効果賞
第56回 (1998年) ゴールデン・グローブ賞 作品賞(ドラマ部門)[スティーヴン=ズピルバーグ]、監督賞[スティーヴン=スピルバーグ]
第64回 (1998年) ニューヨーク映画批評家協会賞 作品賞[スティーブン=スピルバーグ]<番組紹介/解説>
第2次大戦の壮絶な戦場を描き、S・スピルバーグが「シンドラーのリスト」に続いて2度目のアカデミー監督賞に輝いた、戦争スペクタクル映画の金字塔。T・ハンクス主演。ヨーロッパ戦線で、たったひとりの二等兵(プライベート)を救うため死地に赴いた米兵8人は苦難の道へ。冷徹・非情なリアリズムで戦場の真実を生々しく描く一方、死と隣り合わせの極限状態に置かれた兵士たちの人間性や絆を描きながら、ヒューマニズムもある戦場ドラマの傑作となった。数ある迫真の戦闘場面の中でも冒頭のノルマンディー・オマハビーチ上陸作戦はドキュメンタリーと見まごうばかりの迫真度。映画史に残る衝撃的名場面だ。TV「バンド・オブ・ブラザース」「ザ・パシフィック」の原点としても要注目。
<鑑賞チャネル>
WOWOW
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