映画『男はつらいよ 夜霧にむせぶ寅次郎』(お薦め度★★★★)
第31作の都はるみ同様に、歌手としてのイメージが強い中原理恵のマドンナ起用はかなり不安視していました。しかし、山田洋次監督は流石です。脚本と演出で巧みに回避させ、彼女の演技力不足を十分にカバーしていました。
寅さんに失恋して、転落するマドンナとの距離感が絶妙です。マンネリを避けるために後輩の登やタコ社長の娘が登場して、幸福と不幸のコントラストを強調して飽きさせない構成は見事です。
マドンナが入れ込む遊び人を渡瀬恒彦の見事な演技で物語を締めてくれました。
ラストの寅さんとマドンナとの漫画チックな再々会のエピソードも、男と女の機微を大きく超え家族のような人間関係に昇華させる圧倒的な展開を用意しています。まさに寅さんらしい心意気が感じられました。
以下、WOWOWオンラインから転載。
<作品データ>
制作年:1984
制作国:日本
<スタッフ>
監督:山田洋次
脚本:山田洋次、朝間義隆
撮影:高羽哲夫
音楽:山本直純
<キャスト>
車寅次郎:渥美清
さくら:倍賞千恵子
木暮風子:中原理恵
トニー:渡瀬恒彦
福田栄作:佐藤B作
登:秋野太作
桂あけみ(タコ社長の娘):美保純
<番組紹介/解説>
渥美清主演「男はつらいよ」シリーズの第33作。寅さんは北海道で気が強い若い女性と出会い……。マドンナ女優はお茶の間の人気者になった直後の中原理恵。渡瀬恒彦共演。
テキ屋の寅次郎は釧路で、気が強くて勤めを辞めた理容師、風子と出会う。風子は自由気ままに生きる寅次郎に憧れ、彼と一緒に旅をしたいと言い出す。だが、寅次郎はテキ屋暮らしは大変なので堅気になれと言い残し、彼女のもとを去る。故郷の柴又に帰った寅次郎は、北海道で出会った根暗な男性・福田から風子が東京に来ていると知らされて驚く。実は風子は北海道で出会ったサーカスのオートバイ曲芸師、トニーと東京に来ていて……。
<鑑賞チャネル>
プレミアGYAO!(3月末まで無料です。)
【関連記事】
2011.12.24 寅さんをWOWOWで全部観るぞ!
| 固定リンク
コメント