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2024.02.03

kindle版『つかこうへい正伝-1968~1982-』で涙した

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題名:つかこうへい正伝-1968-1982-
著者:長谷川康夫
発行日:2020/7/3
発行所:株式会社新潮社

劇団つかこうへい事務所 一夜限りの大同窓会に行って、『つかこうへい世伝2 1982‐1987 知られざる日々』ではなく、その前の『つかこうへい正伝-1968~1982-』を読まなければならないと思い、amazonで単行本(2015/11/18発行)を探しました。

単行本の後に出版の文庫本があることを知ったものの、中古しか取り寄せられないため、また、単行本よりもkindle版の方が安いためこれにしました。

つかこうへいという人物を辿るのは初めてです。天才で人気があった演出家個人に対して特に興味を抱いたことはありせんでした。つかこうへいが書いた本もしっかりと読んだこともなかったと思います。

しかし、1981年に紀伊国屋ホールで「熱海殺人事件」を観劇したのは、自分にとってどういったものだったのかを一夜限りの大同窓会に参加して、改めて確認したいと感じました。

つかこうへいは私よりも11歳年上です。私自身は若い頃に演劇鑑賞に興味をもったことがなかったので、当時つかこうへいが大ブームだったことはほとんど知らなかったし、どうして「熱海殺人事件」を観に行くことになったのか全く記憶にありませんでした。

本書はかなり読み応えのある内容です。1968~1982の14年間の最後1年前の1981年に観劇できていたのは、奇跡的で学生時代の自分をよくやったと褒めました。

つかこうへい活動リストの1981年に該当の記載がありました。

4月『熱海殺人事件』/紀伊国屋ホール(出演/風間杜夫、平田満、加藤健一、角替和枝)17日~5月2日

本書で1981年が書かれている部分で43年前の自分の記憶が蘇ってきて感動しました。正に自分の青春がありました。さらに、大好きな映画『蒲田行進曲』(1982)の舞台裏が語られ、当初は風間杜夫、平田満がキャスティングされていなかったことを知り、改めて運命的な作品だったことを知りました。改めて涙が流れました。

文庫化されるに至り、あとがきの後に河野通和氏の「“記憶”を“記録”へ」に、何故つかこうへい作品が重要かが書かれている箇所を引用します。

「後に本書が第35回新田次郎文学賞を受賞した際に、選考委員の長部日出雄氏は「選評」で述べます。「つか演劇は共に作劇に携わった人にとっても、観客にとっても生涯の記憶となる事件であった。しかし、観ていない人にそれがどれだけ大きな事件であったかは解らない」  同賞授賞式のスピーチでも、同氏は感に堪えない面持ちで、「つかこうへいの演劇は二度と再現不可能なもの」「舞台上の演技、音楽の入るタイミング、客席に巻き起こる笑い声から、何から何までがジャストミートして、その場にしかあり得ない、唯一無二の奇跡的な空間と時間だった」と語ります。まさにそういう度肝を抜くような「事件」に、本書の著者は出くわしたのです。」

そうです。つかこうへいの演劇は唯一無二の再現できないものでした。本当につかこうへいの演劇に出会えて感謝に堪えません。

ちなみに、本書を読み終えて、映画『蒲田行進曲』を観ました。毎度のことながら泣けます。

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