kindle版『つかこうへい正伝Ⅱ~1982-1987 知られざる日々』で前作が腑に落ちた
題名:つかこうへい正伝Ⅱ~1982-1987 知られざる日々
著者:長谷川康夫
発行日:2024/1/18
発行所:大和書房
前作『つかこうへい正伝-1968~1982-』で疑問に感じたのは、つかこうへいと劇団員の関係性です。どうして暴君にしたがうのか、イマイチ理解できませんでした。
この点に関して、本書の次の箇所で氷解しました。
自分の発した台詞で、客席がうねり、どよめき、笑い、息を呑んで聴き入り、最後には涙する……ひっくるめて言えば、「ウケる」喜びの前に、すべて許せてしまえるのである。 「なんせあの人は、どうすれば役者が輝いて見えるかを見抜く天才だったからね。僕らとしては、ただ、つかさんを気持ちよくさせて、いい芝居を作ってもらいたいだけなんだよな。結局それが自分に返って来るわけだから」
風間杜夫のこの言葉こそが、〝教祖〟でも、〝殿〟でも、〝先生〟でもない、つかと我々との関係を、すべて言い表しているだろう。
すなわち、前作(2015年)とあわせて9年後の本書は読まなければならない作品でした。
更に著者は、つかこうへいの映像作品で観る価値があるのは、映画は『蒲田行進曲』、テレビは『かけおち’83』と紹介しています。
映画『蒲田行進曲』は大好きな作品で、我が意を得たりですが、テレビ『かけおち’83』は観たことがないので評価できないので、とりあえずYouTubeを検索したところ、ヒットしました。
銀河テレビ小説 つかこうへいのかけおち’83
https://youtu.be/Nz2xj4jJzyw?si=jA6U1iDnJ1BnveQq
本書を読むのを一時中断して、『かけおち’83』を鑑賞しました。率直に言ってそれほどではありません。また、著者が俳優を続けられなかった理由がわかりました。
ただし、演出家、脚本家として活躍され、映画監督としては『あの頃、君を追いかけた(2018)』という素晴らしい作品を提供しています。
著者の長谷川康夫氏こそが、つかこうへいを語るうえで最適な人物だということが前作と本作の2冊を読んで深く理解できました。私よりも6歳うえの熱き青春物語に、心が躍りました。
最近のコメント